お弁当を食べた後、一服したら、山頂までピストンだ。12時半頃出発。
持ち物はウエストポーチとカメラだけ。標高にしてわずか100mほどの登り。
一時間もあれば、帰ってこれる。生憎と辺りはガスに巻かれたままで、展望は望めそうもないが、この近さだから、晴れたらまた直ぐに登れる。
小屋の上手から登り始めて、10分もすると松峰からのルートとの分岐点だ。ここでルートはゆるくカーブしていて、稜線の左下には雪渓が見える。
花はキバナシャクナゲ、チングルマ、イワカガミなどが咲いているが、今まで見なかったオヤマノエンドウやミネズオウなどが見られた。
この紫色の花がオヤマノエンドウ。他にはナナカマドもハイマツに隠れそうなほど低いがちゃんと花を咲かせていて、驚くばかりの生命力。
そして標高3000mの岩に張り付いて育つ花々にとっては、地面から吸い上げる水分よりも、こういうガスに含まれる水分が生きていく上で欠かせないのだろう。そう思えば、展望をさえぎるこのガスもそれほど憎めない。
ハクサンイチゲは藪沢新道の標高2500付近から見かけたが、山頂付近ではお花畑になって咲いている。花たちはさすがに草丈はどれも10センチほどで、風を避けるように背を低くして、それでも精一杯咲いている。イワベンケイ、イワウメなども見え始めた。
画像の白い小花がイワウメ。最初は名前がわからず、何だろう?と言っていたが、先輩のOさんが後で「イワウメかなぁ」と思い出してくださった。私は勿論、初めて見る花だ。小さいながらも草ではなく潅木。そういえばチングルマも小さいけど、草ではなくばら科の潅木なんだよね。
これは山頂直下のガレ場に咲いているキバナシャクナゲ。後方でうっすら見えているのがピークに立っている道標だよ。視界は20mもないだろう。ほんとなら360度の大展望が思いのままなんだけど、まぁ、雨に降られなかっただけでも良しとせねば・・。お花畑も見られたしね。
下りはものの15分ほどで下ってしまった。小屋には二時前に到着。花を思う存分楽しめた。
この頃から、小屋に着く登山者が多くなってきた。管理人さんの話ではこの日宿泊するのは十数名だとか。小屋に入ったばかりの女性グループの一人が高山病で頭痛だと話している。そういえば、Sさんは前回、頭痛に悩まされたと言うけど、今回は大丈夫だったようだ。やはり、前夜に北沢峠で一泊したのが正解だったらしい。食堂の椅子に座って、小屋にあった花の本を見ると、ピークで咲いていたタカネツメクサだのイワベンケイだのという花の名前が確認できた。
夕方近くなって小屋の窓から眺める空が青くなってきた。外に出たら、さっきまではガスで何も見えなかったけど、鋸岳が姿を見せている。甲斐駒の前にかかったガスも徐々に取れてきている。小屋にいた人たちは皆外に出てきて、甲斐駒が全貌を現すのを今か今かと待っている。後ろを振り返れば、これもさきほどまでガスに覆われていた仙丈のピークが綺麗に見えている。
小屋と仙丈のピークを入れて撮影してみた。雪渓もはっきりと見えている。
こちらは少し時間を置いて撮影した甲斐駒の画像。5時過ぎに撮影したもの。
小屋の食事が終わって、今度はもう一度、夕焼けと星を見るために、外に出た。
こちらは小屋から北西の方角を撮影したもの。13日朝は北アルプスが綺麗に見えていたそうだ。
それでも、明け方の土砂降りのことを考えると、こんな眺めを見ることが出来ただけでも喜ばなくてはね。小屋は7時半消灯なので、星は8時ぐらいまでしか見られなかったが、山で星を見たのはいつ以来だろう?
夜中に二度ばかり暑くて目覚めたが、二度目に起き上がって窓から仙丈ピークのほうを眺めたら、ピークの上には大きな星が輝いていた。そして、月明かりのせいか、仙丈のピークもはっきりと見えていた。