ここ数年、7月の10日過ぎから夏休み前までの比較的静かな時期に、学生時代の先輩や後輩を誘って本州の山に登るのが恒例となっている。
今年はどこに登ろうかと、5月頃から、時々電話で話をしていた。
去年、仙丈からその姿を垣間見た北岳、もしくは、八ヶ岳にも久しく登っていないので、南八つ辺りにということまでは決った。最終的に、先輩のOさんからのメール中の「北岳のほうが花が多く見られるそうです」という一言で、北岳に決定した。
後輩のSさんも北岳は4度目らしいが、また登りたいといっていたので、すんなりと話がまとまった。
↑画像は去年の7月15日に小仙丈から眺めた北岳。
丁度一年後に奇しくもその北岳に登ることになった。
7月11日深夜0時半、高松発神戸行きのジャンボフェリーにいつもの軽で乗り込む。
車に乗ってしばらく走ったところで、コッフェルをザックに入れ忘れたことに気付く。
山小屋で去年同様、コーヒーを飲むつもりでプリムス入れたのに・・。しかし取りに帰る時間の余裕がなかった。
船の中では大学時代の同級生から携帯メールが入ったりして、結局あまり良く眠れなかった。神戸港に4時半着岸。出航が遅れたようで着岸も遅目だ。直ぐに阪神高速に乗る。大阪、京都も問題なく通過。伊那インターを9時までに下りれば長谷村の仙流荘発10時のバスには間に合うと思った。
ところが伊那インターを下りたのが9時10分。ガソリンを入れたり、道を少し間違えたせいでバスと同時に到着。急いで駐車場に車を入れて靴だけは山靴に履き替えてザックを背負ってバスに乗り込む。
去年は仙流荘で千葉からのOさん、東京からのSさんと合流したが、今回は2人は甲府から広河原入りの予定。ということで、バスには知り合いはいない。連休前の平日だが、他の登山者の方が15人ほどすでに乗っている。
半分も走ると、行く手には鋸岳や甲斐駒の姿が見える。↑画像はバスの窓越し似撮影した甲斐駒。
もう少し登ったところで撮影した甲斐駒の姿。手前右は双児山だろうと思う。
ほとんど写っていないけど、カモシカが2頭現れてしばらくその姿を楽しむことが出来た。学生時代には何度か見ているが、それ以来では初めてだ。しばらくバスのほうを見ていたがやがて森の中に消えた。
大平山荘の手前では今度はニホンジカが現れた。バスの運転手さんの話ではヤナギランを始めとしていろいろな植物を食い荒らしてその害にはほとほと困るそうだ。四国のキレンゲショウマと同じような話だ。
バスの中からは他にもニョホウチドリ、ハクサンシャクナゲなど去年も見た花が見られた。
北沢峠までは約1時間。そこからは山梨側のマイクロバスで広河原まで25分。この日は乗客は私だけ、なのにバスは運転手さんと車掌さんの2人なのだった。道は信州側よりも荒れているように感じた。途中、薄紫色のクサボタンやピンクのシモツケが綺麗に咲いているのが見えた。
予定より少し遅れて広河原に到着。おかげでOさんとSさんを乗せた甲府発のバスが程なく到着した。再会を喜んだ後、各自持参の昼食を食べる。私のお昼は養老SAで買い求めた朴葉寿司。甘めの田舎風な味付けが美味しい。
広河原に来たのは大学2年の7月以来だ。あのときは夏合宿の予備山行で初日に大樺沢を登って肩の小屋、二日目は北岳から間ノ岳、間ノ岳から農鳥をピストンの後、熊の平で幕営、三日目は塩見岳、そして三伏峠経由で下山と言うちょっとハードなコスだった。広河原にはまだ未明に着いたような記憶がある。
この吊り橋を渡るのが登山の始まりだ。