さすがにわさび平で休んでいた登山者の人たちも、皆、登って行きました。
私たちも最後の林道歩きです。山歩きの最後が林道歩きというのはよくあることですが、それまでの緊張もほぐれるからか、どことなくけだるい歩きになることが多いですね。
口数も少なく、それでも見残した花を見るつもりで歩き始めます。時刻は11時半です。
往路でたくさんの蝶がもぶれつくのを見ていたクガイソウです。帰りには4,5匹の蝶が吸蜜していただけですが、登りの時は一つの花穂に10匹近い蝶が来ていて、ちょっと気持ち悪いくらいでした。画像失敗したので、アップはできませんが・・。
種類まではわからないですが、このシジミチョウがとにかく多かったです。
そして蝶を追い求めるムシ屋さんも三連休とあって、たくさん来ていて、網を振り回していたようです。
わさび平小屋近くの木に絡まっているツルアジサイは、装飾花ばかりで、まるで園芸種みたいでした。ほかのツルアジサイは四国で見るのと同じ、ごく普通のものばかりでしたけど。
山は夏山シーズンに入ったばかりですが、なぜかホトトギスの花芽も上がっていて、ほんの小さな秋の訪れも感じます。
ハクサンシャクナゲはどこも花が少なそうでしたが、そんな中、見事に咲き跡を残した株もあります。
クガイソウと同じ花のように見えますが、白いのでシロクガイソウ?
たまに上を見上げると、夏空が広がって、下界の暑さが思いやられました。
四国では見られない花ですが、アルプスに来ると嫌というほど見かけるヤグルマソウも白い花を見せてくれました。
もっと上では葉っぱだけ見かけました。
帰り道ではなぜかオオヤマレンゲを1株しか見ることができず・・・。でも、この道沿いにオオヤマレンゲがあるとわかったのは、嬉しい発見でした。
道沿いにはなんとタチツボスミレまで咲いています。
季節は夏から春に逆戻り?
標高2000mで見かけたコイワカガミをもう一度見ることができるのは、風穴のおかげですね。
温度差は6度ぐらいもあるのでしょうか。
いつも四国で見るマタタビの花とどことなく感じが違うので、ミヤママタタビの花かもしれません。
綺麗な花です。
蒲田川の川べりにはアザミが咲いて、これはこの季節にぴったりの花でしょう。
林道沿いにはあちこちでブルーのヤマアジサイが咲いていましたが、ここだけは不思議とピンクの花が咲いていて、それがまた綺麗な花でした。
これからの山歩きでは嫌というほど見ることでしょう。
まだ登っていく人とすれ違いましたが、わさび平泊まりの人たちでしょうね。
そして行きにも気になっていたこの花はクルマバナでしょうか。四国で見るクルマバナと少し風情が違うような気がしました。
剣山では奥深い場所に咲くヒメフウロがここでは山を下ってくると咲いています。
何度か見かけたのに、ここまで下ってきてようやく撮影できたタテヤマウツボグサです。
去年は小池新道の入り口で見かけたのでしたが。
そしてこれは嬉しい出会いでした。初めて撮影することができたクサボタンです。
北岳に登った時、広河原付近でたくさん咲いていたのに、バスの中からしか見られなかったクサボタンです。
今回も林道歩きの途中や小池新道入口で葉っぱは見ていたのですが、花が咲いていたのはこの株だけでした。立ち性のクレマチスです。
そしてクサボタンの咲いたいた場所と、道路を隔てた反対側の草むらに咲いていたキバナノヤマオダマキです。
去年は大株を見かけたヤマオダマキでしたが、今年はとうとう見られないで帰るのかと心配しました。
新穂高のバス停付近まで下ってくると、はるか上に笠ヶ岳と思しきピークが見えました。
標高差1800mありますから、ほんとに、とてつもなく上のほうに見えました。
12時45分、新穂高温泉まで下山してきました。
去年は気付かなかったバス発着所近くの食堂で、二人でカレーを食べて一息入れました。平湯のバスターミナルが混雑していたら、食事もままならないと思ったからです。
考えたら、この日は鏡平では朝食を頼んでなくて、持っていたラーメンを食べるつもりが、暑かったので、作らずにここまで下ったのでした。
道はこのバスの発着所付近で右俣林道と左俣林道に分かれていて、右俣方面には槍方面から下ってきた人や今から槍方面を目指す人が結構歩いているのでした。
来年はもしかすると、こちらを行くことになるのかな?などという思いがかすかに頭を横切ります。
それにしても、この食堂のメニューはカツ丼、カレー、卵丼など、昔、山から下りたら必ず食べていたようなメニューばかりで、懐かしかったです。昔はテント泊で7泊の最後のほうといったらろくなものを食べてなかったですから、山から下りたら何を食べるかなんて、話しながら下ったものでした。今も昔も山から下りて食べたい物って、変わらないんでしょうね。
駐車場の近くではゲンノショウコが早くも咲いています。
そして近くには白花のゲンノショコも咲いていました。関東が白で関西が赤?ここは中部ですから、中をとって、両方咲いていたのかも・・。
この時期の山歩きのお約束のタマアジサイの花芽も丸く膨らんでいます。
だけども、花が咲いた姿はまだ見てないのです。
驚いたことに、4日間、車を置いてあった間に、ガラガラだった無料駐車場は満車になっていました。おそらく数百台はおけるという広さなのですが・・。
がらがらの時にとめたので、私の車は山に一番近い場所にとめてあったのです。
山靴を普通のウオーキングシューズに履き替え、去年も浸かった露天風呂のある温泉へと走ります。数日分の汗を流してさっぱりした後、平湯のバスターミナルまでKさんを送りました。お土産に欲しかった明宝ハムを買いこんで帰路についたのは15時半頃です。
高山で高速に乗る手前で、アルプスが見えていることに気付き、急いで車をとめて撮影しました。
午前中まで歩いていた山々は、私が想像していたよりはるか高みにありました。
またこの高みに身を置きたいと、強く感じました。
帰り道は、去年ほどは眠くはなりませんでしたが、それでも暑さにはびっくりしました。それもそのはず、その日は岐阜の多治見で37℃にもなったそうです。
本州の山に再び登り始めてから5年目で、今年は去年とまったく同じコースを歩いたわけですが、去年とは全く違う夏山らしいアルプスを楽しむことができて、山はつくづく来るたびに違う表情を見せてくれると感じたことです。
自宅には日付の変わる直前、19日23時55分に、なんとか無事にたどり着きました。今年も胸にたくさんのシーンを刻みこむことができて感謝です。