その夜の双六小屋は、結局、夕食時に食事をしていた人が10人足らずと、いたって静かでした。自炊の方もいたでしょうが、それでも、去年に比べてもずいぶん少ないです。どうやら翌18日の予報が前々から雨と出ていたので、山登りを控えた人が多かったようです。
食事のときに隣に座られた方は福井からの単独の男性で、北アルプスをよく歩かれているようで、剣岳に登るなら早月尾根もいいよなどと、アドバイスいただきました。もっとも、剣は昔登っているので、ふたたび登るかどうかは疑問ですが・・。
18日の天候が良ければ西鎌尾根から槍に登り槍平経由で新穂高に下りるというのも考えないではなかったですが、2000mの下りの後の林道歩き2時間半はちょっときつそうです。
8時頃就寝しましたが、天気が気になって、前の日ほどはよく眠れませんでした。雨は夜中もかなり強く降りました。
翌朝は一応4時に起床しましたが、今度は予報も良く当たって、しっかりと降っています。朝食は頼んでいなかったので、もう一度眠り、7時頃に下に降りていくと、わさび平で一緒だった熟年パーティーの方々が出発するところです。三俣蓮華まで行かれるそうです。
この雨ではどこかに登っても、何も見えないので、それならば鏡平まで下ろうということになりました。私もKさんも昔は風雨の中を嫌でも歩いているので、ピークハンター的な歩きは、もうどうでも良くなっているのです。
小屋に残られていた単独の男性がいらっしゃって、その方はもう1晩双六小屋に泊まり、翌朝の晴れを期待するとのことで、一緒に残りませんかと言われました。なんでも鏡平を経由せずにシシウドが原へ雪渓伝いに下山すれば早いとのことです。しかし、翌朝の晴天の保証がないので、考えた末、丁重にお断りします。
7時ごろに自炊場で朝食にラーメンを作って食べた後、双六小屋出を少し雨脚が弱くなった8時に出発しました。
↑画像は前日にも歩いたクロユリベンチ付近のお花畑です。前日は青空の下で花を撮影しましたが、この日は雨。対照的な花の姿を見ることができました。日が射しているほうが生き生きとして見える花もあれば、しっとりと露を含んだほうが綺麗な花もあります。そう思えば、晴れた日と雨の日、両方の姿を見られたことは幸いでした。
雪渓を背景にしたシナノキンバイやハクサンイチゲもガスの中では、雰囲気もまた変わりますね。
コイワカガミも表情がまた違って・・。
ハクサンイチゲも雨の下ではどことなくさびしそうに見えます・・。
クロユリの花も前日たくさん撮影したので、撮影は一輪にとどめます。
何しろ、6月からこっち、カメラを濡らすのは3度目です。少しはカメラも大事にしないと・・。
ノウゴウイチゴだけは去年のほうがたくさん咲いていたようです。
前日はほとんど咲いてなかったと思うのですが、一気に咲き進んだのか、タカネヤハズハハコがほんのりとピンクに色づいていました。
学生時代の夏合宿は8月10日頃だったので、歩くとこればかり見ていたように思うのですが、ここのところ、7月半ばに歩くのでアルプスではとんと姿を見ないセリ科の花です。
ハナウドかな?
この後、弓折乗越の小さな雪渓でルートを外してしまって、稜線伝いに笠との分岐まで行ってしまいました。分岐には笠から歩いてこられたという単独の男性がいましたが、朝5時発ちだと言ってましたから、分岐まで4時間半ほどかかっているのですね。地図でのコースタイムはもっと短いのですが、ガスのため視界が利かないので、雪渓歩きはルートを外しやすくて難儀するようです。途中一か所、少し危ないところがあるけど、ロープがあるので、大丈夫とのことでした。
途中、道を外して20分ほど時間をロスしたり、メールを出したりしていて、鏡平には11時25分の到着です。
鏡平山荘には私たちが一番乗りだったようです。
小屋ではその日の宿泊者に備えて、雨具を吊るす場所などを大急ぎで作っているところでした。なんでもその日は団体さんの予約が入っているそうで、私たちが通された部屋は10人以上が入れる大部屋です。食事はやはり夕食だけをお願いして、宿泊手続きをします。