画像中に板の橋がかかっていますが、それを渡ると奥丸山への登山道になっています。
前日、樅沢山の山頂でお会いし、その後槍ヶ岳山荘での夕食時も同じテーブルで親しくお話させていただいた京都の男性2人連れの方も、奥丸山経由のエスケープルートで下山されるのか、私の後を歩いてこられました。
槍平小屋への下山路でも、ふとクマのことが心配になったのですが、奥丸山のように人の気配があまりない山はクマがいる可能性も高い恐れがあります。双六小屋で同室になった人に、前日、水晶岳のてっぺんでクマが出たと言うのを聞いて、それも心配です。それに、人の良く通るルートなら単独でもそれほど怖くないですが、まるっきり人の通らないルートで怪我などすると、どうしようもありません。
そこで、後ろから来られていた京都の男性2人に「同行させていただけますでしょうか?」とお願いしたところ、快く承諾していただけたのです。
エスケープルートは先ほどから地図を眺めて、あらかた頭に入っていたので、私がトップを歩かせていただきました。
地図で見ると槍平から奥丸山までは500m弱の登りです。
登り始めると、案の定、急登でしたが、それでも思っていたよりは良い道でした。
この後は一刻でも早く左俣の林道まで下山するため、画像はほとんど撮っていません。
京都の男性2人は70歳の方と40歳ぐらいの方ですが、70歳の方はすごくお元気で、登りもぴったりついてこられます。
雨はその間も止むことなく、滝谷で雨が止むのを待たなくて良かったと思いました。
12時8分、奥丸山から千丈乗越への稜線まで登ってきたので、休憩を入れました。
下のほうから、富山の3人の方が登ってくるのが見えます。
彼らもこのルートを歩くことにしたようです。
奥丸山の稜線はニッコウキスゲが見事に咲き乱れていました。
人があまり歩かないと、花も見事に咲くものですね。
もう一枚だけ画像を撮りましたが、5分ぐらい立ち休憩しただけで、直ぐに出発します。
稜線に出てからは傾斜も緩やかになった道を登ると、12時29分に奥丸山山頂に着きました。
コースタイムよりもかなり速めのペースです。
この後は中崎尾根を下ります。
尾根には早くもミヤマホツツジが咲いていましたが、撮影することもなく足早に下りました。
ここからは中崎尾根を新穂高まで直接下ることもできるようですが、私の地図には記載がないのと、槍平小屋の方が奥丸山からわさび平に下ってくださいと言っていたので、尾根の西斜面を下りました。
ところが、このわさび平方面への道も相当な急斜面を転がり落ちるような道です。
木の根っこを利用したような道で悪路と言って良いと思います。
200mぐらい下ったら、ようやく道は少しましになりました。
相当下ったと思える頃、沢の音が聞こえてきたので、左俣の沢の音だと思ったら、これが下丸沢の流れる音でした。
下丸沢も水量がずいぶん増えていて、轟々と音を立てて流れています。
川幅の狭くなったところを探して渡渉したのですが、水はふくらはぎの高さまでありました。すでに登山靴の中は水浸しだし、衣類もすべて濡れていたので、靴がすべて水に浸かる渡渉も抵抗はありません。
ダブルストックのおかげで無事に渡渉し終え、後ろから歩いてこられる70歳の方はストックを1本しかお持ちでなかったので、私のを一本お貸ししました。
渡渉の後は沢を高巻きするような感じでトラバース気味に歩き、最後はジグザグ道を下ります。珍しい花なども見かけましたが、ここは歩きを優先して、撮影はなしです。
この先は林道歩きなので、半分寝ていても歩けるような道です。
でもほっとしたら、今度は富山の3人の方が無事に沢を渡れただろうかと気がかりでした。
14時54分、小池新道の入り口に着きました。2日前に通った場所です。
青い雨具の方が70歳の方です。
結局、奥丸山ピーク(2439m)から標高1400mのわさび平までの標高差1000mをノンストップで下ってきたのでした。
とてもお元気な70歳でほんとに驚きました。
そして、この日は余分に奥丸山を登ったので、下った標高差は累積で2500mにもなりました。一日に下った標高差としては私の最高です。(^_^;
以前来た時にこの辺りで見かけたはずのウツボグサを帰り道で見つけました。
登りのときは見つからなかったのに、帰り道では見つかったのが、なぜか嬉しかったです。
ここからは3人で楽しく花しながら下りました。
即席のパーティーでしたが、役割分担もうまくいって、なぜかお2人が前々からの知己のような錯覚さえ覚えました。
わさび平小屋では15分ほども、いろいろと話したでしょうか。
さて、新穂高まで最後の歩きにかかろうとしたら、富山の3人が下ってきたので、お互い大喜びしました。
お互いに「頑張ったね」と言い合って、分かれました。
新穂高までの林道歩きではオオヤマレンゲが綺麗に咲いていました。
新穂高の温泉で一泊されると言う京都のお2人に別れを告げて、駐車場へと向かいます。
蒲田川は行きの日とは打って変わって、白濁した水が轟々と流れていました。
新穂高の無料駐車場に着いたのは17時5分でした。
この後すぐに、近くの温泉に立ち寄ったのは言うまでもありません。
ずぶ濡れになった体はさすがに冷えてしまい、温泉がこれほど嬉しかったのは7年前の秋田駒でやはりずぶ濡れになったとき以来でした。
帰りは高山で夕食を食べた後、例年と同じように四国の我が家まで運転して帰ったのですが、淡路島で仮眠したので、帰宅は29日の早朝でした。
悩んだ末での単独行、しかも最終日は予定より2時間余計に歩くことになりましたが、山小屋でめぐり合った人との楽しい会話でいろいろな人の山への熱い思いを知ることができて、ずいぶん感慨深いものがありました。
また、最終日に京都の方たちと素晴らしい歩きを共にさせていただいたのは一生の思い出になることでしょう。
毎年歩いている北アルプスですが、今年も山から素晴らしい思い出をもらいました。