ダイヤモンド水から30分ちょっとも歩けば、歓喜坑という坑道の跡に着きます。最初に銅の鉱脈が発見された場所で,そこから名前も歓喜坑(かんぎこう)とつけられたそうで、付近はベンチなども置かれていて,休憩場所には良いところです。
花を撮影しながらのんびりと歩いているので,私達は特に休憩も取らず、そのまま進みます。その一帯は山道もちょっとした石畳になっていて,歴史を感じます。ほんの5分も登れば,分岐になっていて、右に行けば「銅山越への近道」左は「牛車道経由銅山越」と書かれています。今まで4回とも「近道」という言葉に引かれて、牛車道経由で登ったことはなかったのですが,この日は急ぐこともないので牛車道を歩くことにしました。
牛車道とは明治になってから物資の搬送のために作られた道らしいですが、勾配は緩やかで、なりほどこれなら牛車が行き来出来そうです。ルートは山襞をぐるりと巻くように通っていて,展望も良いし、なかなか風情のある道です。
↑画像中央の石で囲まれたように見えるのは牛車道から眺めた蘭塔場です。元禄時代に大火事があって、亡くなった銅山関係者が多数葬られていた場所らしいです。蘭塔場という言葉は墓場と同じ意味だということです。
笹ヶ峰方面も良く見えていましたが、このときは画像を撮りそびれてしまいました。地図を出して山座同定していると、さきほどダイヤモンド水で私達が出発するのと同時にやってきた男性ばかりのパーティーが追い越していきました。トップを歩かれている方が何やら遺跡の説明をされてましたから、遺跡見学が目的のパーティーなのかも知れません。
山間を通っている牛車道です。銅山越に向かって右側が山側,左は小さな沢の源頭部になっているようです。
Hさんが「昔,登ったのは、この道やわ」と言います。ご主人も山歩きに慣れない彼女のことを考えて緩やかな道を選んだのでしょう。この辺りからそろそろツガザクラが見えてきます。
ツガザクラは岩場を好む花なのですね。日当たりの良いところでは、もうすっかり実になっています。
銅山越付近ではアカモノとツガザクラがツーショットで撮影できるところがたくさんあります。
今年は時期が遅くてツガザクラがほとんど終わっていて駄目でしたが,5月末から6月初めに掛けてはこんなツーショットが見られます。この画像は去年の6月初めに撮影したもので、手前がアカモノ、後方がツガザクラです。
しかし、今年は全然ツガザクラが咲いてなかったかというと、そんなことはなくて、場所に寄ったら,こんな風に咲き残っています。
ツガザクラは花はアカモノより少し小さめで、葉っぱがツガの木の葉っぱのようにツンツンとした葉っぱですから直ぐにわかります。やはりツツジ科の小低木です。
ツガザクラは去年7月に北岳山頂付近でも見ていますが、群生の度合いはなんといってもこの銅山越のほうが見事です。標高は北岳の半分もない1500mのこの場所で,北岳山頂と同じ花が群生するという不思議さ・・・。
岩肌にへばりつくように咲いています。半分近くはすでに実になっていますが、あと10日も早ければ、それは見事だったでしょうね。
因みにこちらは去年,北岳で撮影したツガザクラです。北岳のものは花柄が赤いですね。
12時7分,分岐に到着しました。この道標から徒歩1分で銅山越です。ゆっくりと花を撮影し,展望を楽しみながらの歩きでした。因みに「近道」と書かれたコースを辿ると、ほんの10分ほどで銅山越に着きます。