笹倉湿原への下りはブナなどの樹林の間に笹が生えた斜面をまっしぐらに下るだけでどうということはありません。要所要所に赤テープもあるので、まず道を外すことはないでしょう。14時50分、笹倉湿原到着です。ほんの15分ほどの下りです。
笹倉湿原はなんだか2年前に見たときよりも小さくなっているような気がしました。
06年5月撮影の笹倉湿原です。カメラや撮影ポイントが違うせいもあるかもしれませんが、2年前に見たのより乾燥化が進んでいるように見えました。
実際、笹の侵食が年々ひどくなっているとかで、発見された頃から比べるとかなり小さくなっているとか・・。
笹倉湿原で10分間の休憩の後、15時丁度に下り始めます。ここからは下りのみでルートもわかりやすく危険なところもあまりありません。とはいえ、道標があるわけでなく、一旦、道を外すと周囲は原生林なので、山に慣れない方がハイキング気分で歩くのは危険です。
笹倉湿原の近くにはこんな綺麗なヒメシャラのちょっとした林もあります。
ヒメシャラがこれだけまとまって生えているのは珍しいです。
ワサビの花が咲いています。葉っぱを失礼して一つだけいただいて、丸ごと齧ります。ツーンとしたワサビ独特の辛味が口の中で清涼感を与えてくれます。疲れた体には気持ちよい刺激です。
2年前には見頃をちょっと過ぎた感のあったヤマシャクヤクは残念ながら、ちょっと時期が早かったようです。あと3日もすれば満開だったでしょうね。残念!
この日はエンレイソウもまだ蕾の状態ばかりを見てきましたが、ここまで下ってくると咲き終わった姿に会いました。
この山系では普通のエンレイソウではなくすべてシロバナエンレイソウもしくはムラサキエンレイソウのようです。
急ぎ足で歩いているので、ゆっくり画像が撮れませんでしたがイシヅチテンナンショウのようでした。
二年前にも画像を撮っているブナの巨木です。下から見上げて撮影します。すでに若葉をかなり展開していました。
コチャルメルソウの群生です。白く桜の花びらが散ったのが見えるので、上を見ると山桜の木があるのでした。
コチャルメルソウはこんな風に群生した姿を、よく見かけます。
沢の音がしないとS君が言います。
かすかに沢の流れる音は聞こえますが、確かに二年前に来たときより、沢の水量が少なそうです。通過した小さな沢もほとんど流れがありません。この春は下界では雨が多かったのですが、石鎚山系に限って言えば、雨が少なかったのでしょうか?そう言えば、二年前にはスカイラインからみえる沢はどこも水量が豊富で、あちこちから水が流れ出していましたが、今回はそんな光景も見ませんでした。
草丈は30センチほどとあまり大きくはありません。
仏炎包が緑色なのが特徴で、茶色をしているのはイシヅチテンナンショウということです。
もう1株、オモゴウテンナンショウを見ました。こちらの株のほうが咲き進んでいる状態のようです。
時間はまだ4時頃なのですが、曇っているのと樹林の陰になっているのとで、相当暗く、ISOを上げて撮影しますが、やっとシャッターが切れるという程度です。画像は帰宅してから修正して明るめにしました。
S君の話ではオオイタドリだそうです。確かにいつも良く見ているイタドリとは全体の感じや葉っぱも全然違います。もともとここで自生していたのか、それとも何かの機会にここにもたらされたものかは、尋ねるのを忘れました。
てっきり普通のウツギと思って撮影したのですが、この記事をアップするに当たって、画像を良く見ると、ヒメウツギの花でした。
そうと知っていれば、もっと丁寧に撮影したのですが・・(^。^;)
まだまだ修行不足ですね。
撮影に時間を食ったことや県境尾根でロスタイムしたのと笹コギに時間がかかったりで、予想より時間がかかってしまいましたが、そのつけが回って、後半はかなり飛ばしました。
S君の車で再び土小屋にとって引き返したのが16時半頃でした。
帰りは朝と同じ黒森峠越えにするか、瓶ヶ森林道経由にするか、それとも松山まで出て高速に乗るか大いに迷いましたが、S君の忠告に従い、松山から高速に乗ることにしました。
途中まで近道を案内してくれると言うので、ついて走り、インター付近には6時ごろ着きました。ガソリンが少なくなったので、インターに乗る前にガソリンを補給して、その後は高速を休憩することもなくまっしぐらに帰宅しましたが、不思議と睡眠不足にも関わらず、運転中は全然眠くなかったです。これはクライマーズハイというものでしょうか?
帰宅は19時半、石鎚山系はやはり、朝は暗いうちから出発し、夜は夜で暗くなってから帰宅ということになりますが、この日見られたアケボノツツジとヒカゲツツジ、シャクナゲ、ブナなどの新緑はその労力を補って余りある収穫だったのでした。