北岳に登る、その12、下山

肩の小屋で、すでにパッキングしておいたザックを引き取り、いよいよ下山にかかる。

7時40分、出発。バスの時間までには4時間半ほどあるが、まずまずというところだろう。

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稜線上はまだ風があるだろうということで、私は雨具上下を着たまま、SさんとOさんはすでに雨具の下は脱いで上だけになっている。

前日のガスの中とはまるで違い、スケールの大きな眺めを見ながらの下りはなんとも良い気分だ。

Dsc01707_1向こうのほうから登ってくる人の姿が良く見える。三連休の前日だから登ってくる人も多いことだろう。

小太郎尾根との分岐では10人ほどのパーティーに出会った。

Dsc01708 ミヤマダイコンソウが咲いている。そのまま行き過ぎようとしたが、この花の画像を撮ってなかった事を思い出し、急いでカメラを出す。どこにでも咲いているような感じを受けるが、この花は意外にも稜線上の砂礫地にしか咲いてないのだ。ここで撮影しておかないと、後はチャンスがない。この花も秋田駒、仙丈ケ岳、そして北岳と3年連続で見ることが出来ている。高山には花だけ見ると良く似た黄色い花がたくさん咲くが、この大き目の葉で他のキンバイなどと見分けができると思う。

Dsc01709_2 タカネウスユキソウ。キク科ヤマハハコ属。タカネヤハズハハコとも言うそうで、ほんのりピンク色の花が優しい雰囲気だ。この仲間も山ではよく見かける。手前にはコイワカガミ。稜線から斜面への下り初めに咲いている。

Dsc01711 眼下の谷にはにシナノキンバイのお花畑が広がる。緑の繁みはハイマツとナナカマド。

Dsc01713_1 昨日、ヒメイチゲを見た場所だ。ここで標高2800ぐらいだろうか?お天気がいいので、ほんの少し開いているが、それでも全開とまではいかない。同じ場所に生えている黒百合の蕾も大きく膨らんで、もうすぐ開くに違いない。

Dsc01719_1 緑の斜面を見上げてみる。大人っぽい濃い目のピンクで咲いているショウジョウバカマがちらほら見える。

この辺りになると日が照り付けて暑いので、皆、雨具を脱いで半袖だけになる。登ってくる人も結構多く、晴れていると木陰がないのでさぞ暑いだろうと思う。

Dsc01723_1 ナナカマドの白い花が満開だ。登りでは撮影しそびれたので、忘れずに撮影する。標高2600を越えた辺りで樹木らしい樹木といえば、このナナカマドとハイマツだけ。ナナカマドが多いということは秋の紅葉もざぞ見事だろうなぁ。左上で見えているのは低いながらもダケカンバか?

去年の仙丈ではダケカンバやハイマツが出始めたところにハクサンシャクナゲが咲いていたが、北岳ではとうとう見ることが出来なかった。もっとも、戸台~北沢峠のバスの中からは咲いているのが見えたのだが。

Dsc01724_1 この辺りにはサンカヨウもちらほら咲いている。ただ、斜面に咲いているものが多くて近寄れないが、この株は登山道のすぐ横で咲いていたのでラッキーだった。

Dsc01725 これも前日に撮影したミネザクラだが、晴れているせいで、マクロ撮影が可能になった。それにしても7月半ばにお花見ができるなんて、これも富士山を除いたら一番標高の高い南アルプスならではだ。

キタダケソウの花の時期にはこのミネザクラが満開なのだろうか?

Dsc01717_1 サンリンソウもあちこちで咲いている。開いたばかりの 綺麗な花に会えたので、もう一度撮影してみる。この花は稜線から下り始めてすぐから出現し始め、草すべりの上部までのそこここで咲いている。また、このコースでほかに良く見かけるのは、ナノキンバイ、キナバナノコマノツメで、この3種類は7月いっぱいは見られるのではないだろうか。

Dsc01727 斜面にこの時期咲いているのは、やはりシナノキンバイだ。シナノキンバイは観察していると標高の高いところの株は草丈が低くて、代りに花つきがずいぶん良いが、標高が低くなるにつれて草丈は50センチを越え、花も大きいが1株に咲く花数は少なくなってくる。環境の厳しいところに育つ株はその分種をたくさん残す必要があるのだろう。

Dsc01730_1 薄暗い繁みに咲いているクロユリも、丁度陽射しを受けていて、自然光で撮影することが出来た。

かつて所属していた同好会の部歌が「岳人の歌」といって二番の歌詞は

 「白樺にもたれるは いとし乙女か
  黒百合の花を 胸に抱いて

  アルプスの黒百合 心ときめくよ
  懐かしの岳人 やさし彼の君」
というのだ。因みにメロディーを聞きたい方はこちらにどうぞ。

良い年こいたオジサンやオバサンになっても、この歌を口ずさめば、気分だけは若かりし昔に一っ飛び。

1時間歩いたところで、丁度前日に休憩した樹林帯まで下ってきた。

8時40分、一本、休憩を取る。

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