お彼岸時分の梶ヶ森、その4、ハガクレツリフネ
10時10分ごろ、ようやく龍王の滝の駐車場に着きました。
ここはとても広い駐車場になっていて、トイレもありますが、いつ来ても車はあまり停まってはいません。山靴に履き替え、身支度をした後、10時20分頃に歩き始めます。ここから歩き始めるのは07年3月以来二度目です。その前に滝までなら、6,7年前に来ていますが・・。
歩き始めて直ぐに、ハガクレツリフネが目に留まりました。
ハガクレツリフネは例年だと剣山で見ています。ところが今年はキレンゲショウマを別の場所で見たので、剣山に行ってなくて、したがってハガクレツリフネもまだ見ていませんでした。梶ヶ森でも一昨年、去年と見てはいますが、いつも何とか咲き残っているのを見るという程度です。
距はツリフネソウでは巻き込みますが、ハガクレツリフネでは曲がるだけで巻き込みません。
花序が葉脈から下垂しているのがおわかりでしょうか。こんな具合に花が葉の下に隠れるように咲くことからハガクレツリフネという名がついたようです。
分布は本州(紀伊半島)四国、九州となっていますが、本州の方にとっては馴染みの薄い花のようです。逆に四国の山を歩く人間にとっては、秋の初めには必ずどこかの山で見る花で、夏の終わりから秋にかけては定番ともいえる花です。逆に四国では赤いツリフネソウのほうが見ることがない花で、たまに本州に行ったときに見ることのできる花なのです。
ハガクレツリフネに混じって、ところどころで サンヨウブシも咲いています。
トリカブトの仲間では珍しく無毒です。
分布は本州(関東地方以西)四国(高知県)となっています。
そうはいっても、私はこの梶ヶ森でしかサンヨウブシを見たことがありません。
最初に見たときには、変わった色のトリカブトぐらいにしか思いませんでした。何しろこの仲間は種類も多く、見分けが容易ではないのです。その中でもサンヨウブシは比較的、見分けやすいです。
サンヨウブシの葉はシコクブシやタンナトリカブトに比べて切れ込みが浅い点でも見分けられます。
花がまだ綺麗な時期でも葉が茶枯れていたり、無毒のためか虫に食べられて葉がぼろぼろになっているものが多いようです。
この株はまだ花も葉も綺麗なほうでした。見ごろはもう少し早く、9月上旬ごろが良さそうです。
上を見るとクモの巣が日光を受けて輝いています。自宅のクモの巣は歩くたびに顔につくのが嫌で、すぐに棒で払っていますが、こうしてみると別物みたいに綺麗・・・。
落差は20mとそれほど大きい滝ではないのですが、日本の滝百選に選ばれています。
滝を撮影に来ている方がここでもいました。最近は滝ブームなのか、ちょっとした滝だとカメラを構えている人を良く見かけます。
最初、ハガクレツリフネを見かけたときにはキャーキャー騒いで喜んだものの、何のことはない、滝に近づくに連れて、ハガクレツリフネが大群生です。
道沿いにびっしりと咲いています。
剣山や皿ヶ嶺でも確かに良く見るのですが、ここは今まで見た中で一番たくさん咲いていると思いました。
こんな薄暗いところにゲンノショウコ?と思って、かがみこんで撮影します。
しばらくして、これはコフウロだったと思い出しました。
東赤石やそのほかの山のちょっと薄暗い湿っぽい場所でたまに見かける花です。
ゲンノショウコと違って葉や茎などに腺毛がないことや葉が3裂することで見分けられます。年に一度ぐらいしか見ないので、思い出すのに時間がかかり困ってしまいます。
茎が細くて、実の着き具合が良いと雨の後など、重みでしなっていることが多いのです。
滝から上の道では07年の3月に来たときには雪が積もっていて、あたり一面が白くて、木も裸木だったのに、9月は鬱蒼と木々が繁っています。
9月の山では良く見かけるキバナアキギリですが、ここ梶ヶ森ではそれほど多くはは咲いていませんでした。
咲いていても、道沿いで草刈されたか、丈の低い株でした。
視界に赤い実が入りました。早くもツリバナの実が弾けています。
秋にはお馴染みの姿ですが、今年はツリバナの花もよく見ました。
再び、サンヨウブシの群生を見かけたと思ったら、直ぐ近くにシコクブシも咲いていたのでした。
シコクブシとサンヨウブシが直ぐ近くで咲いているというのも珍しいと思いました。
こちらは勿論、有毒です。
ちょっとした空き地にオタカラコウが数株まとまって生えています。オタカラコウも山ではごく普通に見かける花ですが、今年はこれが初めての撮影だったように思います。
ドウダンの木です。花の咲き跡がたくさん見られるので、花の時期は綺麗だったことでしょう。
ここで一本取ることにします。
気温が高めなので、水分補給は欠かせません。
奥の院付近もハガクレツリフネがその辺中で群生しているのでした。
私の登った山の中ではもっともハガクレツリフネが多い山です。
keitann様 秋の山歩きの楽しみが記事の端々で見えてきます。
沢山の種類の花に出会えて、このくらいになると、まるでわがことのように喜んでいます。
トリカブトの仲間は、どれも素敵な花ですね。
だから、この花を見ると「毒さえなければ一級品」と思っていましたが、無毒の「ブシ」があったとは驚きました。
ハガクレツリフネ・・・・・「あるところには有る」そのままでしたね。
ツリバナ、キバナアキギリなど、良い姿を楽しみました。
滝も、貫禄有る佇まいではないでしょうか。
投稿: ぶちょうほう | 2008-10-01 09:03
ぶちょうほう様、こんにちは。
梶ヶ森は山頂まで車で登ることもできるというお手軽にいける山です。
そちらだと、伊吹山のような感じでしょうか。
でも、日曜日でも登山道を登っている人はあまりいませんので、静かな雰囲気の中を歩くのです。
トリカブトでもこのサンヨウブシは無毒ということも驚きますが、花色が淡い紫色で、とても素敵なんですよ。
去年までは車道沿いに咲き終わりかけた株を見るだけでしたが、この日は時期的にぴったりだったか、あちこちで
よく見かけました。
ハガクレツリフネは時期さえ合えば、恐らく四国の山ではたいてい群生しているのでは?と思います。
私が毎年、9月初めは忙しくてあまり山に入れないので、見てないだけだと思います。
滝があるということは沢があるということで、植物の種類も豊富です。
投稿: keitann | 2008-10-01 10:47