犬返し~石ヶ山丈~魔戸の滝、その5、最後に魔戸の滝へ下る
今まで見た中でも一際高い石積みに出てきたと思ったら、そこが石ヶ山丈でした。
石ヶ山丈というちょっと変わった名前は上部鉄道の駅名です。と言っても、私もこの時に行ったからわかっただけで、それ以前は日浦から銅山越に至る銅山の遺跡ぐらいしか知っていませんでした。上部鉄道という名前も聞いたことはあるというぐらいのものでしかありませんでした。
検索すると「別子銅山で採掘された鉱石は、角石原駅(かどいしはら)で積み込まれ、途中交換駅の一本松駅を経由し、石ケ山丈駅(いしがさんじょう)で降ろされ、索道で下部鉄道(後述)の端出場駅(はでば)に輸送された後、新居浜港へ運搬されていた。ここより標高の低い第三通洞の開通により役目を終え、1911年(明治44年)10月7日、18年間で廃止された。」とあります。
↑立派な石積みを見上げるYさんの奥さん。
後は石積みの手前を右手のほうへ歩いていきます。
時刻は12時34分。
ここからずっと右手に行くと銅山峯ヒュッテに出るんですね。
と言っても私は東平からはほとんど登ったことがなくて、銅山峯ヒュッテは一度通り過ぎただけです。
一本松というのも上部鉄道の駅名のようです。
石積みはずっと続いていて、明治という重機もない時代にこれだけの石垣を積むことの苦労を思うと気が遠くなりそうです。
↑これは昔の停車場のプラットホームかな?
停車場と書かれた辺りまでやってきて、お昼を食べることになりました。
昔のプラットホームに腰を下ろし、コンビニで買ってきたおむすびをほおばるのも何か変な気分です。
登りは汗だくになるほど暑かったのに、ここは山の北斜面なので日が射さず、じっとしてるとたちまち汗が冷えてきそうで慌てて上衣を羽織りました。
食べていると、隣に座っていたRさんが「TAさんは?」というので、辺りを見回してもTAさん夫妻がいません。あれまぁ、俄か編成の大パーティーで来たものだから到着時に気づかなかったんですね。エントツ山さんが慌てて元の登ってきた道へ走っていき、大きな声で呼んだところ返事がありました。
間違えてもっと上のほうに登っていくところだったそうです。
やれやれ、行方不明にならなくて良かった良かった・・。
後は楽しくお昼を食べ、思った通り、食後はあちこちからおやつが出てきました。
もう一杯コーヒーを飲みたいけど、犬返しで皆のコーヒーを淹れるのにポットのお湯を使ってしまったのでどうしようかと思っていたら、Tさんがお湯を沸かしたのを分けてくださいました。
おかげで食後のコーヒーも飲めて満ち足りた気分です。
↑食後は、危うく行方不明になりかけたTAさん夫妻とエントツ山さんとで記念撮影です。
TAさんたちはエントツ山さんの前夜の掲示板を見て犬返しに来られるのを知って、わざわざ犬返しに来られたのだそうです。でも、時間的なことを考えたら、よくあそこで会えたものだ感心しました。
13時20分、いよいよ最後の目的地である魔戸の滝へと向かいます。
上を見ると眩しいばかりの青空に紅葉した木が少し残っていました。
登り始めは標高50m足らずで、まだまだ木々の葉がたくさんあったのに、ここ石ヶ山丈は標高850mもあるのです。標高差800mを登るのは考えたら久しぶりのことでした。
登りはじめとこことでは風景が違うのも当たり前ですね。
道は東に向かって斜面をトラバースするようについています。
この石積みも何かの遺跡なんでしょうね。
杉の樹間から新居浜の街が一瞬見えました。
道はほぼ平坦に東に向かってついています。
13時35分、魔戸の滝への分岐の道標がもうすぐありますよと書かれた道標が気にぶら下がっていました。
これがその分岐の道標らしいです。
手前に分岐の予告の道標があったのは、↑の道標がわかり難くて、つい違うほうに下ってしまう人が多いのでつけたそうです。
なるほど確かに、これは間違って下ってしまいそうだと思いました。
下りで道でヒカゲツツジの花芽を見て小躍りしました。
そういえば、銅山峯ヒュッテ付近もヒカゲツツジが多かったですね。
ヒカゲツツジと下っていくエントツ山さん。
かなり急な下りになってきました。
振り返ると、後続の人たちも緊張した面持ちで下っています。
途中、こんなロープ場もありました。
やがて水の音がずいぶん近くなってきたと思ったら、滝が見えてきました。
少し東へトラバースしたら滝に出るようです。
苔生した大木の幹が雰囲気ありますね。
樹林に見え隠れしながら、後ろの人たちも下ってきました。
下りは遅れる人もありませんでした。
もうすぐ滝ですね。
と思っていたら、目の前でエントツ山さんが転んで一回転したのでびっくりしました。
エントツ山さんでもそんなことがあるんですね。
危ない場所でなくて何よりでした。
足元にはコミヤマカタバミの葉っぱも見えているので、春に来ても楽しそう・・・。
14時10分、魔戸の滝到着です。
手前のカエデの黄葉もなかなかいいです。
実は2年ほど前に種子川の流れを見ていたのですが、小さな川だったので、その上流にある魔戸の滝もそれほど大した滝ではないのではという先入観があったのですが、どうしてどうして立派な滝でした。水量もかなりあります。
ここで最後の記念撮影をします。
皆さん、コースを通して歩かれた満足感で笑顔ですね。
TAさん夫妻が三脚を持参されていたので、全員の記念写真もエントツ山さんが撮影してくださいました。
14時22分、滝を後にして滝の駐車場へ下り始めました。
↑こんな道標がありましたが、さて、西赤石山への所要時間はどのぐらいでしょう?
数字が消えてますが、私たちの足ならたっぷり3時間以上はかかりそうです。
澄んだ沢の水を眺めながら最後の下りを下ります。
駐車場までにも、こんな場所もあったりします。
滝見物にはサンダル履きでは危ないですね。
14時26分、駐車場まで下ってきました。
デポしてあったMさんの車が見えてきました。
魔戸の滝の説明板もちゃんとありました。
駐車場すぐ横に小さな橋がかかっています。
その橋に立ったら、直ぐ近くでヤブツバキが綺麗な花を咲かせていました。
ヤブツバキがお出迎えしてくれたような気がして、なんともうれしくなりました。
後は大勢の人を何とか二台の車に積み込んで、山根運動公園まで帰るのみですが、途中の林道が結構ダートで、ここは四駆の車でないとちょっと厳しそうでした。
でも、歩けば1時間ほどかかりそうな林道歩きを楽して帰ってこれたのですから、ありがたいですね。
14時56分、無事に山根運動公園に帰ってこれました。
朝方吹いていた冷たい風はもう吹いてなくて、穏やかな晴天です。
登っていたときは暑いぐらいでしたが、寒いよりはずっとましです。
立ち去るKさん夫妻に深々とお辞儀をするエントツ山さんが印象的でした。
普通なら、魔戸の滝まで案内し、帰りも車で送って差し上げたわけですから、お礼を言われて当然のエントツ山さんのほうが丁寧に頭を下げているのです。犬返しを歩いてくれたことに感謝し、ペーコさんの鐘を鳴らしてくれたことに感謝する…そんなエントツ山さんの気持ちが良く表れていると思った一瞬でした。
↑朝、置いてあった自転車を危うく置き忘れそうになって取りに行ったMさんとエントツ山さん。
新居浜のご実家まで、私たち皆に教えてくださいました。
その後はご実家に戻られるエントツ山さんとお別れして私たちは新居浜市内の温泉へ。
思いもよらないほど汗をかいたので、温泉セットを持参して正解でした。
↑温泉の近くの民家で咲き誇っていた皇帝ダリヤと、後ろには赤石山系の前山。
温泉から新居浜インターまでの道すがら、串ヶ峰が車窓から見えました。
ほんとに立派な山に見えます。
次回は串ヶ峰に登ってみたい・・・。
振り返ると、朝方眺めた煙突山のエントツも見えていました。
考えたら、赤石山系の山はお気に入りで、特に東赤石など20回以上は登っていると思いますが、何れも南側から登るばかりで北側からこの山系に登ったのは初めてのことでした。
標高わずか50m以下の場所から、体力さえあれば標高1700mもの山まで尾根が続いているということに驚きました。もちろん知識としては知っていましたが、今回はこの目で眺めて、そのことを実感できました。1~2時間もあれば山頂まで登れてしまう香川の里山とは厳しさが違います。
その厳しい山に、鉱山の遺跡が点在しているということで、より興味深い山となっているようです。
犬返しでペーコさんの鐘を鳴らすというだけが当初の目的でしたが、結果的にはいろいろな意味で面白い山歩きとなりました。
案内してくださったエントツ山さん、早朝から車をデポしてくださったMさん、ほんとにお世話になりました。
↓最後にこの日のログをアップしておきます。
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