5月の山にて、山芍薬
生憎とキンランは見ることが出来なかった。時期が早いのかそれとも盗掘されてしまったのか、ちょっとわからない。傘を差すほどではないが、生憎の小雨なので、すれ違う車も一台も見ない。しかし、この時期はいったん照りつけるとうっとうしいほどの緑なのだけど、小雨の中で見る新緑は雨に洗われてなんとも鮮やかで、言いようもないほど美しい。
去年、イチリンソウを見かけた場所に差し掛かった。今年も綺麗に咲いているなぁと見上げているとその奥になにやらもっと大きい白い花。なんと山芍薬ではないか。
しかし、そう簡単にいける場所ではない。靴を山靴に履き替える。雨のために足元も滑りやすくなっているし、何より崩落し易いので普通には登れない。何とか野草がなく、登りやすそうな場所を、木を掴んで腕力で体を持ち上げながら攀じ登る。若いときならこのぐらいは軽々だったが、何しろ余分な肉もついてるので、体が重くて結構大変だ。カメラのケースのマジックテープが傷んでいて、ケースからカメラが転がり落ちた。あっという間に5mほど下まで転がった。何とか途中で木の根っこに引っかかって止まったようだ。やれやれ・・。しかし、あれだけ転がったんだから、これは無事では済まないだろうな・・。苦労してカメラを拾いに下る。電源を入れてみた。カメラは泥んこだけど、何事もないように電源が入った。ほっとする。木の枝から落ちる雨露で頭はびしょびしょ。滑った拍子などで、服もドロドロ。しかし、カメラが無事だったのも神様の思し召しと思い、もう一度ヤマシャクの群生を撮るべく上がる。先よりは少しアプローチしやすいコースがあった。
ガスが少しかかっていたので、はっきりした画像ではないけど、それでもかなり咲いているのがわかる。
これが徳島や愛媛の山なら別に珍しくもないが、県内の山となると話は別。
この場所は私の胸に秘めておこうと思う。
山野草でこれだけ大きくて綺麗な花を咲かせるものは珍しいし、だからこそ盗掘の対象にもなるのだろう。しかし、この花はここに咲いてこそ美しい。
花がそろそろ終りかけたのや、まだ蕾のものもあったから、今が一番見頃だったようだ。それにしても、見たいみたいと願っていたヤマシャクの群生をこんな形で思いがけず見られるとは・・・。神様の粋なはからいだったのかも知れない。
いつもなら野草の女王さまのようなイチリンソウだけど、今日だけはおつきの女官と言う風情だった。
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