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2006-11-05

大菩薩嶺

大菩薩峠という名前だけは実を言うと小学生の頃から知っていた。

中里介山の「大菩薩峠」と言う本が実家の父の書棚に並んでいたからだ。父の本も小学生の頃からこっそり読んでいて石川達三や吉屋信子の本も読んだりしていたが、さすがに中里介山の本は読まなかった。

大学に入って山登りの同好会に入り八ヶ岳や上越の山々に登り始めた。一年の秋には同じ一年生同士でみんなちょっとした山に一泊で個人山行をし始めた。私はといえば一年の秋には上州武尊山や苗場山に個人山行で行ったが、仲間たちは浅間山(噴火前の)や大菩薩峠に行っていたのだった。その時に初めて大菩薩峠が実在の峠名で富士山を見るには絶好の場所であることを知った。

Photo_2

上画像は同行のSさんが撮影された大菩薩峠付近の縦走路。許可をいただいて画像をお借りしました。

アップダウンもそれほどなく、笹原の中を快適に歩く事が出来る。この日も風は少し冷たいものの、まるで日溜りハイクそのもの。

上日川峠から一時間ほど歩いたところで一本目の休憩。行く手にはそろそろ気持ちよさそうな稜腺が見えてきた。どうやら登山口の案内板にあった休憩所に着いたらしくおあつらえ向きにベンチもある。Sさんはいつも2時間ほど休憩を取らずに一気に歩かれるらしいが、1時間歩いたら一本休憩を入れるのが癖になっている私はやはり体が休憩を欲している。初めてのYさんもそれほど遅れたり息が荒くなることもなく、まずまずのペース。

朝起きてから、電車の中でクッキー一枚とコーヒーしか飲んでなかった私はお腹がぺこぺこなので、ここでおにぎり一個を食べる。Yさんもやっぱりお腹が空いたと言っておにぎりを出している。Sさんからはバナナが行動食で回ってきた。お腹に何か入ると現金なもので急に元気が出る。と言ってもそれまでもぺちゃくちゃ喋って、元気でしたが(^^;)

10分ほど休憩した後、出発。直ぐに介山荘に着く。ここではいろいろな御土産物やおでんコーヒーなどを売っている。四国の山道とは大違いだ。往時はこの茶店で旅人が甘酒の一つも飲んだことだろう。

茶店の直ぐ向こうで稜線に出たと思ったら、そこが大菩薩峠だった。既にかなりの人がいて記念撮影などしている。その後は気持ちのいい稜線歩きとなった。

Dsc00531_5

Sさんが「この辺りにウメバチソウが咲くはずだよ」という。よ~く見ると花は終っているけど、葉っぱがあったのでした。それに何故かまだ咲き残っているタカネマツムシソウの花。綺麗な青紫色の花が茶枯れた草の中でひときわ目立っている。

↑画像は唐松尾根の下り取り付き部分から大菩薩峠方面を望んだもの。

大菩薩嶺まで行くと樹林の中になって展望がないのでその手前の適当な場所でお昼にしようということになった。風が西から吹きつけるので避けたいが、稜線から東は樹林で入れそうにない。ちょっとした岩陰で風を何とか避けて座る。Sさんが早速、ザックからプリムスを出している。私もパッキングする際によほどプリムスを入れようと思ったが、コッヘルまで入れると荷物になるので諦めたのだった。しかし、飛行機の荷物検査ではガスボンベの類は一切持ち込み禁止だったので、持参しても結局無駄だったのだ。

私のお昼は新宿で買い込んだ駅弁の釜飯弁当。Yさんは朝早くから自宅でちゃんとおにぎりを作ってきたらしい。感心だ~。

そうこうするうちにプリムスでお湯があっという間に沸く。Sさんが持ってきてくれたレギュラーコーヒーを入れて熱々のコーヒーやお茶をいただく。秋山では何よりのご馳走だ。その間もいろいろな話に花が咲く。Yさんは無類のビール好きで、大学時代はお酒なんか飲めませんという顔をしていたが、今では毎晩のようにビールを1リットルは飲もうかという酒豪だ。Sさんが北海道の山ではカメラを持ち上げる代わりにエチルアルコールを持ち上げて飲んだことなど、とんでもない話に驚くやら笑うやら・・。それは私たちだってあの時代は角壜なんて、ものすごく上等で、普通はホワイトやレッド、時にはトリスなんて呑んでたな~などと。今の若い人が聞いても、とんとわからないような話だ。

のんびりと休憩した後おもむろに出発。連休初日とあってか、四国では考えられないほどたくさんの人が歩いている。すぐに雷岩を通過。その後樹林帯に入り、どうやらこの樹林帯の中に大菩薩嶺のピークがあるようだ。

Dsc00524_1 ピークには13時10分頃到着。ここで初めてデジカメが言う事を聞いてくれて撮影可能になった。

ここは噂どおり、何の展望もない場所なのでそれほど長くいても仕方がない。証拠写真を撮影した後は、分岐まで引き返す。

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