槍穂展望の山旅、その11、クロユリ
ノウゴウイチゴの咲くそばには、待望のクロユリが咲いていました。
それも去年見たのよりずっとたくさんのクロユリです。途中ですれ違った若者に「クロユリは咲いてました?」と尋ねたら「気がつきませんでした」と言っていたので、今年はクロユリが見られないかと、内心がっかりしていたのです。
それがご覧のとおり、わんさかと群生しています。
まだ咲き始めというところですが、蕾が全部開いたら、さぞかしクロユリだらけになるんだろうな~というぐらいです。
栄養状態がいいのか、中には3輪も花をつけた豪華な株もあります。
クロユリはやはり花の名前をあまり知らなかった学生時代にも、その名前ぐらいは知っていて、北アルプスで見かけた憶えがあります。花にはあまり詳しくない人にとってもクロユリというだけで、特別な存在感がありますね。実際、私も、2年前、3年前の北岳や仙丈ケ岳ではすごく珍しいと感じていたのです。それが去年、この双六へのコースではあちこちで咲いていて、それほど珍しい花とは思わなくなったようです。
クロユリといえば、学生時代所属していた山岳同好会の部歌が「岳人の歌」という歌で、岳人の歌の歌詞にはクロユリの花が出てくるのですね。
画像は双六小屋で記念に買ってきた歌集ですが、この歌集にも「岳人の歌」が載っています。
因みに岳人の歌の歌詞とメロディーはこちらです。
歌集の下になっているのは昔の五万図の「槍ヶ岳」「信濃池田」「松本」「上高地」の4枚です。私はどうも槍ヶ岳に登る気満々だったようで、沢の名前なども○十年前にきっちり書きこんでますね。それが今も槍にはまだ登らないままで、双六のほうを歩いているのですから不思議なものです。
話をもとに戻して、このクロユリが群生している場所はその名もクロユリベンチといいます。この場所にはおあつらえ向きにべンチがあるのですね。
クロユリだけでなくハクサンイチゲやコイワカガミなど何種類かの花が咲き乱れる素敵な場所です。
青い花が好きなので、青い花はすぐに目につきます。
こちらは歩き始めてから気がついた、登山道沿いに咲いていたミヤマリンドウです。
十分に日差しを浴びてなかったせいか開ききっていないようです。
間もなく双六小屋に着くと思うころ、後ろを振り返ると、笠ヶ岳の姿が見えました。
見えているのはピークの近くの部分だけですが、綺麗に笠の形をしているので間違いありません。
前を向いても、後ろを振り返っても素晴らしいの一言です。
双六小屋ってなんていい位置に建ってるのでしょう。でも、実際は小屋から見えるのは鷲羽ぐらいなんですけどね。
鷲羽と双六小屋を眺めながら雪渓を下っていきます。雪は腐っているので、特に問題はありません。
ミヤマトリカブトでしょうか。今まで南アルプス、北アルプスを通じて、トリカブトを見たのは初めてのように思います。どちらかというと夏の終りに咲く花なのかもしれません。そういえば、双六小屋で食事の際に隣になった方が秩父平付近には9月初めでもトリカブトがたくさん咲いていると仰ってました。
オンタデやカラマツソウの向こうに槍がまだ見えていますが、稜線からそろそろ離れるので、ひとまずこれが槍の見おさめでしょうか。
午後になって空の色もブルーとは言えなくなってきました。
稜線を離れて樅沢岳の西斜面をトラバースするような感じで北上します。この付近はナナカマドやハイマツなどが多いのですがその樹林の下、ところどころでキヌガサソウが咲いています。
ほんとに去年の倍ほどの数のキヌガサソウを見かけたようです。そしてこの付近で、双六小屋方面から南に向かって歩いている女性3人のパーティーとすれ違います。
樅沢岳の斜面はハイマツが多いです。双六の斜面も緑色の部分はおそらくハイマツの色でしょうね。
去年も、双六小屋手前の木道沿いで見かけたコミヤマカタバミが今年も出迎えてくれました。
今年は無理でも、いつかはあのピークに立ちたいと強く思いました。
双六池は今年もまだ雪渓がとけてなくて、池とは言えない状態でした。
池のほとりが幕営場になっています。
双六小屋着は13時23分でした。13時までには着くだろうと思っていたのが、花があまりにもたくさん咲いていて、お花見に時間がかかったようです。
でも、それほど遅い到着ではないですから、花と展望を楽しんで歩いたにしてはまずまずのペースでしょうか。
うわぁ、いいなぁ(^^)v
ヤマはやっぱし、いいですね。
>「気がつきませんでした」と言っていたので、今年はクロユリが見られないかと、内心がっかりしていたのです。
あー、その青年。。。
たぶん、40年くらい前の「ボク」だと思います。
遠くの峰や山容は見ている、雲の流れや風の方向なんかは見ている。
見ているのは遠くだけ、近くのものはなーんにも見ていない。
投稿: あゆ | 2008-07-29 11:45
あゆさん、こんばんは~。
あ、あの青年、40年前のあゆさんでしたか?道理で色が黒かった・・・(^_^;
ったく、私も、数十年前はあまり周囲を見る余裕なんてなかったですよ。
あゆsなんみたいにいろいろ見てて、近くだけ見てないんじゃなくて、遠くもあまり見てなかったみたい。
大天井岳を今回見てきて、あそこに登ってるなんて、全然思い出せず、家に帰ってきて昔の五万図を広げて、始めて気づいた始末でした。
同行の後輩も、西鎌尾根を歩いていたことを今回初めて思い出したみたい。
去年も見てるのにね~。
見えてるのと見るのとは違うってことでしょうね。
投稿: keitann | 2008-07-29 21:30