« 真冬の天霧山、その6、下山 | メイン | 雪の中、ユキワリイチゲを見に行く »

2009-01-24

長火鉢のこと

30年近くも仕舞いこんでいた長火鉢ですが、ひょんなことから、今年は陽の目を見ることになりました。

P1188417

この長火鉢は私がこの家に嫁いできたときには、炭火を入れて現役で使われていたものです。姑が早く死んだので、長火鉢の由来などは聞いた事がないのですが、恐らく、茶道が好きで、古いものが好きだった姑が、買い求めたものではないかと思います。

火鉢を出すきっかけは、一週間ほど前に、仙台在住の昔からの友達が、荷物を送ってくれたのでした。荷物の中には「七が宿の白炭」というのが入っていました。白炭というのは初めて聞いたのですが、焼き方が普通の炭とは違うらしく、よく聞く備長炭なども白炭の一種で、備長炭は「ウバメガシ」の木を焼いたものだそうです。ウバメガシというのはこの辺では「バベ」と言い、うちに庭にも何本も庭木として植えられているし、この当りの里山ではごく普通に生えている木なのです。ちょっと意外でした。

私の実家は両親が私が小学生の頃に建てた家ですが、父が新しいものが好きだったので、小さい頃から暖房器具はストーブでした。が、両親が家を建てる前後の1年半ほど、祖母の家に住んでいたので、火鉢でお餅を焼いたりという生活も経験しています。

祖母の家の火鉢は、よく農家にある瀬戸物の火鉢でした。

さて、気にしたことはなかったのですが、自宅には火鉢が6,7個ほどもあって、瀬戸物の弥、塗りのかかった軽い手あぶり、金属製のもの(たぶん真鍮製?)などがあるのですが、ここは長火鉢が便利そうということで、長火鉢を引っ張り出してきました。

P1188393 これが白炭です。火鉢に入れるには長かったので、金槌でたたいて割りましたが、キーンという金属製の音がします。かなり硬いのですね。

袋にはご飯を炊くときに入れたり、水道水に入れると水が美味しくなるとありました。

火熾しが以前はあったはずですが、前に外で雨ざらしになっているのを見た覚えがあるので、あったとしても使い物にはならなさそうです。仕方なく、HCで火おこしを買ってきましたが、これは安価でした。

あとは火箸や鉄瓶、炭入れといった、火鉢用の道具ですが、これは茶室の水屋の道具入れにありました。

P1188395 炭かごと手あぶり用の塗りの火鉢です。

炭かごの中にはなんと30年前の炭がそのままに入っていました。

普通の竹篭と違い、炭の粉が落ちないように、内張りをしてあります。左手前のはこの辺りの特産の一貫張りの入れ物で、これも炭籠として利用していた様子です。

P1188409 姑が生きていた頃には、使ってなかった銅壷(どうこ)ですが、のん兵衛夫婦なので、徳利も入れてみます。

そして、数十年ぶりに自宅でお餅を焼きます。

お餅は暮れに自分で搗いた自家製のお餅です。

P1188414 ピンボケですが、銅壷を撮影したものです。

銅製の箱型の容器で、手前の徳利を立ててある部分は水が入るようになっています。

奥の小さな炭入れは酒の肴を炙るとこらしいですが、この中の炭火で銅壷ないの水がお湯になり、いつも熱燗の状態をキープできますので、お酒がついつい進みました。昔の人はうまく考えたものです。

なお、銅壷の高さが10センチ以上もあるので、徳利は二合徳利など、丈の高いのでなければ沈みます。

P1228509 後日、五徳の小さいのが欲しかったので、田舎のよろず屋さんに行ったら、ほうろくを見つけました。

山友達の方から、銀杏をたくさんいただいていたのがあって、早速、その夜はほうろくで銀杏を炒りました。

火の当りが柔らかいからか、殻が弾け飛ぶようなこともなくて、良い塩梅に炒ることが出来ました。

P1228511 主人や子供たちが好きなスルメも炭火で炙ると簡単ですね。

大人のままごとみたいな、火鉢遊びですが、炭火が赤々といこるのを見ていると、時を忘れます(「いこる」というのは、この辺の方言で、炭火が赤く燃えている様子です)

こんな昔のスローライフに、なんとなく惹かれるのは、年をとった証拠でしょうね。

コメント

これは凄いお宝ですね。
屋根裏にはまだまだ凄いお宝がザックザク眠っているかもしれませんよ。
昔の道具はまだまだ使えるものも有りますし、
表に出して見てるだけでも心が和みますよね。
そもそも道具は使ってこそそこに命がみなぎる訳ですからね。
これは民芸の心ですが、壊れて使えない様な物でも何か再利用できるかも知れませんね。
古ければ何でも良いとは言いませんが、
見たり、使ったりするとワクワクとして色んな事を想像したりもできますね。

便利さを優先する時代にスローなスタイルで生活するのは一種の贅沢と言えるかも知れませんね。
古民家の取り壊し現場はじっくりと観察して記録しておくと面白いですね。
古民家ツアーでもやりますか?
一番最初は、keitannさんところですかね。(笑)

里山のブログや直接度々訪れて一緒に遊んでいるオイノコさんも高瀬です。
近くかも知れませんね。
彼女は自分のアトリエ(隠し砦)になる様な古民家を探しています。
ただしお安く貸して頂けるようなところですけどね。
壊してる古民家を見るとヨダレをだらだら垂らして鼻息荒くして隅々まで見ているそうです。
因みに、罠師の免許や古武術の免許や火熾し技術等自然派の生活に憧れています。
夏場は、里海で里山の海賊研修生として技術を磨いております。

あぶったイカ、美味そうですね。

燦様、こんばんは。
長火鉢がお宝かどうかはよく分からないのですが、少なくともかなり実用的な道具ですね。
白炭を送ってくれた仙台の友人に写メで画像を送ったら、これで着物を着て煙管でも持ったら、完璧ね、なんて
返事が返ってきました(^_^;
残念ながらアウトドアな生活を送っているので、それは難しいですが・・。

昔のものは不思議と、置いてあるだけでも、良い雰囲気がありますね。
長い時間をかけて淘汰された優れたデザインだからなんでしょうか。
「用の美」なんていう言葉もありましたっけ。

今はお金で何でも買える生活ですが、それだけではあまりに味気ないですね。
たとえば、お餅でもお節でもお金を出せば買えるのですが、田舎で育った私には、到底、買う気が起きないです。
かといって、今の時代ですからすべてが手作りというわけにもいきませんが、昔の風習やしきたりが消えてしまうのは
どこか淋しいです。

携帯やパソコンを駆使しているのに、かたや長火鉢というのもおかしいですが、人間とはもともと、そういうアンバランスな
動物かもしれませんね。

古民家ツアーですか・・。我が家は古民家というほどではないですが、それでも古い部分も少しは残ってます。
オイノコさん・・・御ブログで名前を拝見していると思います。
そうですか、同郷なんですね。

アトリエということは、焼き物か何かされてるのですね。
美意識の発達した方には、古い和風建築は面白いでしょうね。


コメントを投稿

フォトアルバム
Powered by Six Apart

私のもうひとつのブログです。よろしく

更新ブログ