北アルプス最北の山旅、その18、タチカメバソウ
吹上のコルからほんの少し下ったところに、かなり大きな雪渓があって、これは傾斜があるので、危なそうだなと思っていたら、ちゃんとステップが切ってありました。
前日に朝日小屋の直前で、ショベルを持った小屋の若い男の子たちとすれ違ったのは、このステップを切りに行ってたのですね。
これはステップがなかったら、ちょっと怖かったね、などとYさんと話しながら下ります。でも、きちんと切ってあるステップのおかげで、楽に下ることが出来ました。
下ってしばらくしてから後ろを見たら、単独の女性がやはり雪渓を下ってきています。ここから見ても、やはりステップを切ってないと、これだけの傾斜があると危険ですね。
後ほどこの単独の若い女の子とは蓮華温泉で一緒になりましたが、テント泊用の大きなザックを背負っていたので「どこかの山岳部か山岳会の方ですか?」とお尋ねしたところ、そうではなくて、しかもまだ山歩きを始めて間もないそうです。途中で地図を落としたというので、地図を見せてあげたりもしましたが、いくら若いとはいえ、初心者がこのルートを単独で歩くのはちょっと無謀のように思うのですが・・。他にも初老の男性が単独で歩いていましたが、下ってから何気なく車のナンバーを見ると、新潟の方でしたから、こちらはきっと何度もこのコースを歩かれているようです。
話は元に戻りますが、例の雪渓を下ると、その下はなだらかな谷になっていて、リュウキンカなどが咲きはじめています。
この辺りからが地図上で「ぬかるみの道」と記された場所のようです。
朝日小屋の方の話では、最近新しく木道をつけられたそうで、画像に見えるのがその木道かもしれません。まだ真新しかったです。
雪がとけた後には御馴染みのリュウキンカ、チングルマ、そして草つきの斜面にはシラネアオイも見えます。
他にもオオサクラソウ、イワカガミなども咲いていました。
そして、ここではツクシやスギナがリュウキンカに混じってびっしりと顔を見せていてYさんが喜んだことでした。
東京に住んでいて普段はあまり山歩きをしてないので、ツクシハ珍しいのかも・・・。
私のほうは、春から初夏にかけては平野部や山間部で嫌というほど見ていて、珍しくもないですが、それでも7月半ばにツクシを見たのは、今まででいちばん遅く見た記録かもしれません。
前を行く、若い男女のパーティーが、ちょっともたもたしているので、どうしたかと思えば、雪渓が微妙に融けかかっていて、足運びに苦労しているようです。
ベンガラでコースは示されていますが、その後に雪が融けているので、土の上を歩いたほうが危なくないところもあったりで、考えながら慎重に下ります。
画像は私たちに少し遅れて下ってくる単独の男性・・。この方とは、この後も抜きつ抜かれつで下ってきました。
前日にツバメ岩付近で見かけたものの、ザレ場を10mほども下ったところに咲いていたので、近くで見るのは諦めていたので、ここで見ることができて大喜びです。
ミネザクラもここ数年、毎年のように南アルプスや北アルプスで見ていますから、見られないとちょっと淋しいものがあります。
ツクシにサクラ・・・山はまだ春なんだな~と実感します。
雨は山頂付近では一旦やんでいたのですが、また降り始めたようで、結局、この日はずっと降ったりやんだりの繰り返しでした。
この辺りは雨のせいで水の道になってしまっています。向こうに赤テープ、こちらの岩に赤ペンキがが見えているので、これを渡る訳です。こんな箇所がいくつかありましたから大雨のときなどは登るのも下るのも避けたほうが良さそうです。
今までで初めて見る花ですが、掲示板などで見せていただいていたので、直ぐにタチカメバソウとわかりました。
沢筋に咲く花らしいですが、四国には咲かないので、今まで見たことがありませんでした。
葉っぱの写っている画像も何とか一枚撮っていました。タチカメバソウに間違いないですね。花色はほぼ白と言ってよいでしょうか。
小雨が降っているので、じっくり撮影することは不可能で、取り急ぎの画像です。
朝日岳や雪倉などの高山では同じムラサキ科のミヤマムラサキを嫌というほど見ましたが、タチカメバソウのほうは、ここで見ただけです。普通は、ミヤマムラサキのほうが珍しいんでしょうけどね・・。
雨も小降りになったので、この辺りで、休憩することにしました。先ほどから休憩しようといいつつ、ここまで下ってしまいました。
時刻は8時15分です。
少し早いですが、朝日小屋で作ってもらったお弁当を半分食べます。Yさんはどちらかというと小食なので、食べる機会を逃すとお腹が空き過ぎて却って食べられなくなるタイプのようなので、「少しずつ食べるほうがいいよ」とアドバイスして、彼女もお弁当を半分食べます。何しろ、2年前の鏡平への登りで、彼女が突然、お腹がすいたといい始め、途中でパンを食べたのですが、その後絶不調に陥ったのを目の当たりに見ているので、彼女には極力食べたり飲んだりするように、うるさく言いました。パートナーの不調は二人だけの歩きだと、致命的ですからね。
シナノキンバイ、ハクサンイチゲなどの御馴染みの花、そしてこの日もムシトリスミレ、アオノツガザクラが咲いています。
木道は新しくつけられたのもあれば、こんな古いままの木道もあります。
小屋の方に雨で濡れているので、木道が滑りやすいので気をつけて下さいと言われていたのに、ここで思いっきり滑ってしまいました。
少し肘をぶつけましたが、特にどうこう言うわけではなくそのまま歩きます。結局、私はもう一度滑って転び、Yさんも2度滑って転びましたが、二人とも幸いに、怪我はしません。
私はといえば、白馬行きの前に、靴のソールの張替えをしたかったのですが、一ヵ月かかるといわれ間に合わないので、新しい靴で来ようかと迷いながら、結局、履きなれた古い靴を持ってきたのです。04年の秋田駒登山に際して買った靴ですから、丸五年しっかり履いたので、かなり底が磨り減っているのです。(白馬から帰ってから張替えに出しています)
この後、ずっと私たちの少し後から来ていた九州の10名近いパーティーの姿を見かけなくなって、蓮華温泉でもとうとう下ってくる姿を見かけなかったので心配していたら、帰宅した何日か経ってから朝日小屋のHPで知りました。メンバーの1人が木道で滑って転び、歩けなくなり結局、その後朝日小屋に収容されたようです。こちらがHPの記事です。私たちより10歳ほど年上の方が多いパーティーだったので、そうすると転んでも怪我をする可能性が高いようです。当方のパーティーも1つ間違えば怪我をしていたかもと思うと、無事に歩きとおせたのはラッキーとしかいえませんね。尚、木道で滑らないためにも、ダブルストックは有り難かったです。
雨に濡れてしっとりとした風情は素晴らしかったです。
ハクサンコザクラと違い、他の草や花と一緒に、緑濃い中で咲いていますので、慣れると一目でわかります。
この画像に写っている木道も古い木道で、すごく滑りやすいです。
中には滑り止めに古い木道の上から斜めに新しい木を張ってあるのがありましたが、すべての木道にそういう処理をしていただけると安心して歩けますね。
イチヤクソウは咲いていたのですが、茎が赤いのでコバノイチヤクソウでしょうか。ゆっくり見ている時間がなく、葉っぱの確認が出来ませんでした。
サンカヨウ、シラネアオイ、ゴゼンタチバナなども綺麗で見頃でした。
ランの仲間はこの辺りではまだ花芽で、同定は不可能でしたが、もう少し下ると咲いているのもあったようです。
後方の赤いのはイワカガミの花後の姿です。
これは2年前に愛媛の寒風山で見ていたので、何とかわかりましたがミヤマホツツジの花芽ですね。
寒風山では9月に見たのですが、ここではもう直ぐ咲きそうです。
この後もエゾシオガマ、ミドリユキザサ、ニッコウキスゲ、キヌガサソウなど次々といろいろな花が咲いています。
カメラを仕舞う時間がありません・・・。
春の花もあれば秋の花もあるという具合です。
直ぐ近くには、まだ花芽ですが初めて見るハクサンオミナエシ・・・。これも秋の花ですよね。
ここだけに三種類もの黄色い花が固まって咲いていて、綺麗でした。
やがて、辺りは樹林帯になり、カニコウモリなども見かけるようになります。
この後もツバメオモトはいたるところで見かけたのですが、残念ながら花の咲いている株は見ることができませんでした。南アルプスでも株は見ましたが、私は今までツバメオモトの花を一度も見てないのです。やはり6月に登らないと無理なのでしょうか?
9時16分、ようやく五輪の森の道標を通過です。
こんにちは。
すごいところを進んでいくんですね。
高山植物がたくさんあって楽しそうです。
私も勉強になります。
投稿: 多摩NTの住人 | 2009-08-02 11:36
多摩NTの住人様、こんばんは。
一見、すごそうですが、ストックを両手に持っているとそうでもないんですよ。
それに、画像ではわかりにくいですが、雪渓上にはショベルでしっかりしたステップを切ってくれて
ますから、意外と怖くないですよ。
それよりもロングコースのほうが問題ですが、それでもこれだけの花が見られるのなら、歩く価値ありですね。
山にある程度慣れた人なら問題ないでしょう。
投稿: keitann | 2009-08-02 21:45