010年夏、扇沢~鹿島槍、その7、コマクサと爺ヶ岳
種池山荘では2人で一室に通されてゆっくりと寛ぐことが出来ました。後で聞いた話ですが、ほんとはこの日は地元の中学生が団体で登ってきて泊まる予定だったそうですが、悪天候が予想されたのでキャンセルになったのだそうです。
そんな訳でこの日の宿泊者は私達2人と北海道から来られたという女性2人だけという、まことに静かな山小屋での滞在となりました。
夕食時に良く眠れるようにと缶ビールを1本いただいたせいか、その夜は小屋の外ではほぼ1晩中雨音が聞こえましたが、夜は何度か目覚めたものの比較的良く眠ることが出来ました。
翌朝、5時10分にYさんに起されて目覚めました。
窓を開けると飛び込んできたのがこの光景でした。ガスはかかっていますが、幸い、雨はやんでいます。
自炊室でお湯を沸かしてスープやカップ麺、コーヒー、クラッカーなどで、簡単な朝食を摂ります。
去年の白馬山行から朝食は頼まずに夕食とお弁当だけを頼むようにしています。
小屋によっては朝食の時間が遅いところもあるので苦肉の策ですが、何泊かの山行ではガスや食料を持参しているほうが心強いですからね。
6時出発の予定が、結局、歩き始めは6時30分になってしまいました。
小屋の周囲は雲海が立ち込めています。
雨は降っていませんが、稜線は風があるだろうと判断して、風除けのために雨具を着こんで出発します。
東に見える爺ヶ岳南峰を先ずは目指すのですが、歩き始めにまず雪渓歩きです。
と言っても小さな雪渓で、後一週間もすれば融けてしまいそうな感じです。
爺ヶ岳までは200mほどのなだらかな登りですが、歩き始めて30分も経たないうちに、早くも薄いガスが漂い始めました。
遠くに見えるのは北海道からの女性二人連れです。結局、この後も、この方達とほぼ行動を共にすることになりました。
北東の方角に赤い屋根が見えてきました。
あれが今夜宿泊する冷池山荘です。
種池山荘とは深い谷を隔てていますが、直線距離は3キロもないでしょうね。
手前の緑はハイマツのブッシュですね。
北アルプスでは毎回見かけるのですが、花はずいぶん早く咲くらしく、まだ一度も見ていません。
そしてウラシマツツジは真っ赤に紅葉することでも知られていて、9月には燃えるような赤に染まるそうです。
爺ヶ岳界隈はこのウラシマツツジがひじょうに多く見かけられました。
そして、ハイマツの自生する場所ではお馴染みのコケモモの花も岩の間から顔を覗かせ始めました。
南斜面には点々と白い花が咲いていますが、あれはチングルマでしょうか。
これまでは見ていなかったミヤマダイコンソウも初めて姿を見せてくれました。
でも、このほかの場所では見かけなかったようです。
山頂がガスっていたら、巻き道を行こうというという予定にしていましたが、案の定、ガスってきたので、Yさんは巻き道を進んでいるようです。
良く見るとクモマスミのようです。
でも、このときはタカネスミレとクモマスミレとの違いをまだはっきりとわかってなかったので、もしかしたらタカネスミレかも知れないと思ったりしました。後ほど冷池山荘で調べて、爺ヶ岳にクモマスミレが咲くとわかり、一件落着しました。(^_^;
尚も巻き道を進んでいくと、西側の砂礫地にコマクサが咲いています。
でも、爺ヶ岳にコマクサが咲くとはまったく知らなかったので、これも思いがけない出会いとなったのでした。
前方で待ってくれたYさんに「コマクサが咲いてるよ」と声をかけたら、花にはあまり興味を示さないYさんですが、さすがに引き返してきてコンデジで撮影を始めました。(^_^;
先を歩かれていた北海道の女性2人にも「コマクサですよ」と声をかけたのですが、特に引き返してくる風もありません。後ほど、わかったのですが「北海道の山にはコマクサが一面に咲くところが多い」のだそうです。なんと贅沢な・・・・。
私など1年に1度会えればいいほうなのですが・・。
クモマスミレもあちこちで咲いていて、この辺りは可憐なお花が多かったです。
稜線の東側にはべったりと雪がついていて、その上部にはハクサンイチゲの姿も見え始めました。
よいよ高値の花たちが揃い踏みですね。
巻き道からほんの少しの登りだったので、これは登ることにしました。
7時39分、爺ヶ岳中峰着ですが、展望もないので、すぐに巻き道に戻りました。
種池山荘から爺ヶ岳までは西に向かって歩くのですが、爺ヶ岳から先は稜線が北に延びています。
私がいろいろ撮影している間に、Yさんは早くもかなり前を歩いていますね。
中峰を過ぎたら、後は巻き道も下り気味についているので、楽です。
可憐なミヤマクワガタの花も見かけました。
ミヤマクワガタも白馬以来、1年ぶりです。
コメント