初歩きは西行の道、その2、心なき身にもあわれは・・・
何やら青いものが見えるので、近寄って見るとオオイヌノフグリのブルーでした。
西行の道をゆっくりと登って行くと、最初は田んぼの畔に咲くような花が目に飛び込んできます。
↑オオイヌノフグリが早くも花芽を上げていました。
陽射しさえあれば、間違いなく咲いていたと思われますが、この道は五色台の北斜面に当たるので、最初は日陰がちな場所が多く、残念ながら今年お初のオオイヌノフグリの開花とはいきませんでした。
振り返ると、五色台の中でも北側に位置する山々が見えていますが、地図で調べると北峰というようです。五色台は台地状の山々から成り立っていますが、青海神社辺りは三方を山に囲まれた場所で、浜街道が通るまでは交通の便なども悪かったと聞いています。
ここからが、いよいよ西行の道の核心部のようです。
↑西行と崇徳上皇との関係について説明文がありました。
保元の乱で敗れた崇徳上皇はここ坂出の地に島流しになり、一生を失意のうちに送ったのです。
香川の人間なら子供の頃から、その程度のことは聞かされて育つのですが、西行との関わりは歴史などでもあまり教わらなかったと思います。
話は変わりますが、善通寺方面に西行が結んだ庵跡があって、そちら方面の山に行く際に、いつも気になりながら、まだ訪れたことがありませんでした。善通寺になぜ西行が庵を?と疑問だったのですが、崇徳上皇の霊を弔うために讃岐の地に渡り、善通寺に数年滞在したそうです。
これで、その謎が解けました。
道はここから石造りの階段状の道になります。
幅もずいぶんあって、これだけの道を作るのはさぞやと思われます。
下から、子供たちが何人か駆け足で登って行きました。その後からお父さんやお爺さんらしき人が登っていき、どうやらファミリーで歩きに来ているようです。なかなか人気のコースなんですね。
階段の上の方に見えている断崖絶壁の山を稚児ヶ嶽というようで、あの崖の上で崇徳上皇が荼毘に付されたとか・・・。
道の傍らに、黒々とした実を見せているのはヤブランの果実ですね。
我が家の庭にも野鳥の落とし物から勝手に生えてきたヤブランがありますが、冬の果実はなかなか美しいものです。
おやおや、こんなところに、テイカカズラの綿毛が・・・・。
周囲にテイカカズラは見当たりませんが、どこかから飛んできたようです。
このあと、山の上の辺りで、テイカカズラを嫌と言うほど見かけたのでした。
追い抜いて行ったこどもさんのお爺さんと思しき方に「何を撮ってるんですか?」と尋ねられたので「テイカカズラの綿毛です」と答えたら「ビナンカズラですか?」と・・・。
それでも、ビナンカズラをご存じとは、植物に詳しい方でした。
そうこうするうちに、オドリコソウに出会ったのです。
五色台はオドリコソウの多い山ですが、まさか、こんな寒い年明けに早々と見られようとは・・・・。
何の期待もしてなかっただけに驚きました。
その後すぐに、今度はサネカズラの実が落ちていました。
上を見上げると、サネカズラのツル・・・。
集合果ですが、周囲の果実がほとんどなくなっているのは、野鳥に食べられたのでしょう。
この後も、五色台ではずいぶんたくさんのサネカズラを見かけました。
いよいよ西行の歌が出てきました。
初めて見る歌ですが、西行自身の心境とも崇徳上皇の境遇を推し量って詠んだ歌かな?とも思われます。
こういう心境は私たちぐらいの年代にならないと、わからないかも・・・。
和歌にはとんと疎い私ですが、しみじみと来るものがあります。
↑昔の山仲間が・・・・去年秋に亡くなりました・・・・
道ばたには早春に花を咲かせるセントウソウ、オドリコソウ、ハコベ、オオイヌノフグリなど、いろいろな草の緑が見えています。
見上げれば、そこは秋の名残のボタンヅルの綿毛・・・
振り返って眺める五色台の北峰…南斜面には日が射しています。
麓から2合目あたりまでは耕されているんですよね。
五色台では良く見かけるタンキリマメ。
サヤの赤い色は失われていますが、まだまだ豆果はさやにくっついたままです。
やがて、昔、古典の授業で習った歌が出てきました。
この歌は百人一首にも入っているので、聞き覚えがある方も多いでしょうね。
昔、学校で習うことはあまり意味がないと思っていましたが、一般教養として最低限のことは学んでおくと、ふとした折りに思い出すことがよくあります。
先ほどから若い学生さんらしき男の子が、熱心に歌碑を一つ一つ撮影していました。
ササの向こうに姿がちらっと見えています。
声をかけたら、京都の仏教系の大学で学んでいるので、興味があるとか・・。
私のように植物散策が主目的のものもいれば、和歌が目的の人、ファミリーで健康増進のために来ている人、いろいろな人がいろいろな目的で歩かれているようです。
↑オドリコソウのちょっとした群落。
3月になれば、花も見ごろとなるでしょうね。
やがて、道は車道と合流しました。
車道のほうは、いつも五色台に来るときに走っている道で、この場所は見覚えがあります。
気になりながらも、車を停める場所がないので、しっくりと眺めたことがありませんでした。
ここから登れば白峯寺へと至るようです。
白峯寺からも、たぶんここを下ればこの場所に出るのだろうなと思いながらも、今まで歩いていませんでした。
合流地点には休憩にぴったりの東屋も用意されています。
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