北岳に登る、その12、下山
稜線上はまだ風があるだろうということで、私は雨具上下を着たまま、SさんとOさんはすでに雨具の下は脱いで上だけになっている。
前日のガスの中とはまるで違い、スケールの大きな眺めを見ながらの下りはなんとも良い気分だ。
向こうのほうから登ってくる人の姿が良く見える。三連休の前日だから登ってくる人も多いことだろう。
小太郎尾根との分岐では10人ほどのパーティーに出会った。
ミヤマダイコンソウが咲いている。そのまま行き過ぎようとしたが、この花の画像を撮ってなかった事を思い出し、急いでカメラを出す。どこにでも咲いているような感じを受けるが、この花は意外にも稜線上の砂礫地にしか咲いてないのだ。ここで撮影しておかないと、後はチャンスがない。この花も秋田駒、仙丈ケ岳、そして北岳と3年連続で見ることが出来ている。高山には花だけ見ると良く似た黄色い花がたくさん咲くが、この大き目の葉で他のキンバイなどと見分けができると思う。
タカネウスユキソウ。キク科ヤマハハコ属。タカネヤハズハハコとも言うそうで、ほんのりピンク色の花が優しい雰囲気だ。この仲間も山ではよく見かける。手前にはコイワカガミ。稜線から斜面への下り初めに咲いている。
眼下の谷にはにシナノキンバイのお花畑が広がる。緑の繁みはハイマツとナナカマド。
昨日、ヒメイチゲを見た場所だ。ここで標高2800ぐらいだろうか?お天気がいいので、ほんの少し開いているが、それでも全開とまではいかない。同じ場所に生えている黒百合の蕾も大きく膨らんで、もうすぐ開くに違いない。
緑の斜面を見上げてみる。大人っぽい濃い目のピンクで咲いているショウジョウバカマがちらほら見える。
この辺りになると日が照り付けて暑いので、皆、雨具を脱いで半袖だけになる。登ってくる人も結構多く、晴れていると木陰がないのでさぞ暑いだろうと思う。
ナナカマドの白い花が満開だ。登りでは撮影しそびれたので、忘れずに撮影する。標高2600を越えた辺りで樹木らしい樹木といえば、このナナカマドとハイマツだけ。ナナカマドが多いということは秋の紅葉もざぞ見事だろうなぁ。左上で見えているのは低いながらもダケカンバか?
去年の仙丈ではダケカンバやハイマツが出始めたところにハクサンシャクナゲが咲いていたが、北岳ではとうとう見ることが出来なかった。もっとも、戸台~北沢峠のバスの中からは咲いているのが見えたのだが。
この辺りにはサンカヨウもちらほら咲いている。ただ、斜面に咲いているものが多くて近寄れないが、この株は登山道のすぐ横で咲いていたのでラッキーだった。
これも前日に撮影したミネザクラだが、晴れているせいで、マクロ撮影が可能になった。それにしても7月半ばにお花見ができるなんて、これも富士山を除いたら一番標高の高い南アルプスならではだ。
キタダケソウの花の時期にはこのミネザクラが満開なのだろうか?
サンリンソウもあちこちで咲いている。開いたばかりの 綺麗な花に会えたので、もう一度撮影してみる。この花は稜線から下り始めてすぐから出現し始め、草すべりの上部までのそこここで咲いている。また、このコースでほかに良く見かけるのは、ナノキンバイ、キナバナノコマノツメで、この3種類は7月いっぱいは見られるのではないだろうか。
斜面にこの時期咲いているのは、やはりシナノキンバイだ。シナノキンバイは観察していると標高の高いところの株は草丈が低くて、代りに花つきがずいぶん良いが、標高が低くなるにつれて草丈は50センチを越え、花も大きいが1株に咲く花数は少なくなってくる。環境の厳しいところに育つ株はその分種をたくさん残す必要があるのだろう。
薄暗い繁みに咲いているクロユリも、丁度陽射しを受けていて、自然光で撮影することが出来た。
かつて所属していた同好会の部歌が「岳人の歌」といって二番の歌詞は
「白樺にもたれるは いとし乙女か
黒百合の花を 胸に抱いて
アルプスの黒百合 心ときめくよ
懐かしの岳人 やさし彼の君」
というのだ。因みにメロディーを聞きたい方はこちらにどうぞ。
良い年こいたオジサンやオバサンになっても、この歌を口ずさめば、気分だけは若かりし昔に一っ飛び。
1時間歩いたところで、丁度前日に休憩した樹林帯まで下ってきた。
8時40分、一本、休憩を取る。
こんにちは。
私は11日から13日まで御池小屋、北岳山荘泊まりで北岳に登っていました。
キタダケソウやミヤマハナシノブ、チョウノスケソウなどきれいな花がたくさんあってとてもよかったです。私はキバナアツモリソウも見ていますよ。(でもチングルマは見つけられなかったです)
1から12まで写真がたくさんあって、たっぷりと楽しませていただきました。また訪問させていただきますので、よろしくお願い致します。
投稿: まるふく | 2006-07-23 22:35
まるふくさん、こんにちは。
どこかでお見かけした名前だと思ったら、あるぼぼさんのブログにコメントされていたのですね。
今、まるふくさんのほうにお邪魔してきました。
私たちよりも一日早く入山されて間ノ岳にも登られているのですね。私たちも天候が良ければ、13日は間ノ岳までピストンしようと思っていたのですが、展望が全然ないので諦めたのでした。
13日は肩の小屋で何時ごろに休憩されたのでしょうか?私たちが小屋に着いたのは9時ですから、もしかしたら、同じ頃に小屋でいらしたのかも?
チングルマは北岳のピークで長い間遊んでいたので、目にとまりました。キバナノアツモリソウは見られませんでしたが、それでも、思っていた以上に花がたくさん咲いていたので大満足でした。
こちらこそよろしくお願いしますね。
投稿: keitann | 2006-07-24 14:27
こんにちは。
13日はデジカメで撮った写真データによると10時44分から11時18分まで肩の小屋付近にいました。小屋でおしるこを頼んで、あと読みかけの小説を読んでいました。
9時頃は北岳山荘から北岳に登っていた頃で、物凄い風と格闘していました。かなり近くにいたことは確かですね。
こちらこそよろしくお願い致します。
投稿: まるふく | 2006-07-25 04:43
keitann様 こんにちは
前日のおさらいコースですね。
しかし、今度は眺望に恵まれ、山の展望と足元の草にと忙しくなりましたね。
鳳凰三山がどんどんせり上がっていくのがとてももの哀しい場面でもありますね。
投稿: ぶちょうほう | 2006-07-25 10:08
まるふくさん、再度のコメントをいただきまして、ありがとうございます。
私たちのほうは9時に小屋に着いて、11時にピークへのピストンに出発しました。その間の二時間は小屋でいた訳ですから、もしかしたらどこかですれ違っているかも知れませんね。大部分は2階のほうでいたのですが、途中、コーヒーを飲みに下りたり、キタダケソウを撮影するために一階に下りましたから。
この広い日本で、たった15分といえ、至近距離でいたというのも何かのご縁でしょうか。
本州の山は懐かしい記憶がたくさん詰まっていますので、こちらこそ、またうかがわせていただきます。
投稿: keitann | 2006-07-25 11:49
ぶちょうほう様、こんにちは。
登りと下りが同じルートですと、一度歩いた道ですので、特に目新しいものはないのですが。今回は天候が全然違ったせいで、印象も全然違いましたので、下りの様子も載せてみました。
鳳凰三山がせりあがる・・・ほんとにそのとおりです。やはり何度か登られている方は、同じ感覚をお持ちですね。登りのときは自分がどんどん高みに上がっていくのが嬉しいのですが、下りは何故か、皆、寡黙になります。
投稿: keitann | 2006-07-25 11:54
この間は13だけしか読まなかったので、見逃しちゃいました。山野草初心者の私としては、花が大きめで可愛いキンポウゲ科はどれも大好きよ~。白花が特に好きなので、イチリンソウやニリンソウが特にお気に入り。サンリンソウ、開花するまで維持できるのかなぁ。。。。特に高山の方に自生するみたいだし。でも、葉は私の苗と同じように明るい緑色ですね。良かった、合ってるみたいで。
クロユリはあまり良い香りじゃないと聞きますがどうでした? 北海道行ったときに、よほど買ってこようと思いましたがやっぱり止めたのです。この株は結構丈がありそうですね。
そうそう、シナノキンバイ良いなぁ! 私もトロリウスはいろいろ蒔いているので、楽しみにしているところです。アップは無理だったのですね~。そばに近寄れないところで咲いているんだ。でも、目に焼き付けてきたでしょうからkeitannさんはいいよね。(*^_^*) それにまた行くチャンスもあるでしょ。
投稿: primrose | 2006-07-28 15:05
primroseさん、おはよう。
キンポウゲ科は人気がありますね。そういう私もキンポウゲ科は好きな花が多いですね。
サンリンソウは登り始めて間もなくのところではすでに花は終っていて種らしきものをつけていました。でも、そのときは何の花かわからなかったのです。サンリンソウとわかったのは小屋に着いてから北岳の花について書いた図鑑を見てからです。かなり群生していましたから、強い植物のようです。
クロユリは香りまで確かめることはしませんでしたが、美しさにはうっとりでした。画像の個体は周囲の草に負けないように草丈も25センチぐらいだったと思います。
シナノキンバイはそれこそ、どこにでも咲いていますよ。登山道わきでもいっぱい咲いていて、勿論マクロ画像もあります。こちらです。http://siraneaoi.lekumo.biz/yamasuki_hanasuki/2006/07/post_2c52.html
咲き始めのときは緑がかった色をしているんですよ~。このエントリーでは群生している様子をアップしたかったので敢えて遠景ばかりにしました。
投稿: keitann | 2006-07-29 09:47