北岳に登る、その11、展望
最終日の14日はあまり眠れぬまま、4時過ぎになった。周囲の人たちもそろそろ起き始めている。外もうっすらと明るくなり始めたので、起きだして外に出てみる。
雨は降っていないが、やはりガスがかかっている。
5時には、朝食の用意が出来たことを小屋のおじさんが知らせにきた。気圧が低くて水加減を多めにしてあるのか、昨日も今朝もご飯が柔らかめ。朝から丼ごはんだけど、山に入るとお腹が空くので、しっかりと全部食べた。
外にもう一度出てみると、昨日よりは視界が利く。後は下るだけで、12時20分のバスまで時間は十分あるので、晴れても晴れなくても、もう一度ピークまで登ることにする。先輩のOさんに「登ります?」と訊いたら、今日は登られると言う。去年と違って、高山病の頭痛が今年は出てないそうだ。それではと、バッグに例の如くペットボトル、チョコレート、地図を入れて5時半に出発。
夕べ同じく肩の小屋に泊まった人たちの大多数は大きいザックを背負ってピークを目指している。恐らくこの後、間ノ岳や塩見岳方面に縦走するつもりなのだろう。間ノ岳に行く途中に綺麗なお花畑があるそうだ。
風は前日よりもきつくてちょっと寒いが、予定通り6時10分に山頂に着く。
山頂には今朝は10人あまりの人がいて、皆、ガスが取れるのを待っている。
三脚の上にすでにカメラをセットしている人もいる。ガスはどんどん流れて、時折ガスの切れ間に西の方角が見える。↑画像はそんなガスの切れ間に急いで撮影した中央アルプス方面。伊那方面と思われる町まで見える。ガスが切れるといってもほんも数十秒で、一瞬後にはまたガスに包まれて何も見えない状態になる。しばらく待つと今度は仙丈ケ岳方面が見えた。
ほぼ全貌を現した仙丈ケ岳。藪沢カールの下のほうにも雪がずいぶん残っている。去年はあの場所にはあんな大きな雪渓はなかったはず。Sさんが北岳のピークは4度目だけど初めてここから仙丈の姿を見たと言って喜んでいる。私も北岳山頂で写した写真がないということは、山頂はガスっていたから写さなかったにに違いない。
この7月に新しく設置しなおされたばかりの三等三角点。三角点には「白根岳」と記されている。
この新しい三角点についてはこちらに詳しく記載されている。
いつまでも眺めていたいが、バスの時間もあるので6時50分に下り始める。また下る途中にも眺めることができるだろう。
ほんの5分も下らないうちに、前日にチョウノスケソウを見た場所に来た。
あの断崖絶壁に咲くチョウノスケソウだ。昨日はガスの中だったけど、晴れるとこんな眺めになるんだね~。
思わず、「アルプスの少女ハイジ」の歌を口ずさみたくなるような眺めだ。綺麗な緑の斜面はハイマツだろうか?
急いで富士と仙丈ケ岳をバックに記念撮影する。
ここは中白根沢ノ頭経由で両俣小屋に至るルートへの分岐になっている場所だ。眼下にくっきりと肩の小屋の青い屋根が見える。やはり展望があるというのは気持ちの良いものだ。
そしてこんな山頂付近にもキバナノコマノツメが咲いていると思って撮影したが、良く見ると顔がどことなく違うようだ。もしかしてタカネスミレ?
肩の小屋のすぐ上から撮影したもの。正面は鳳凰三山。左奥には八ヶ岳の裾野が見えているが、この日はとうとう下る途中ずっと八ヶ岳は裾野しか見ることが出来なかった。
小屋付近から仙丈ケ岳方面をバックにお花畑を撮影する。中央に見えている小ピークが中白根沢ノ頭と思われる。尾根の先には両俣小屋があるはずだ。ということは後方に見えるのは仙塩尾根か?
keitann様 こんにちは
あらためて今日「その9」にコメントをつけ、投稿しましたが、同じように当方側のウィルスソフトが働きブロックされました。
それであちらに投稿するのは諦めました。
その要旨はこうでした。・・・・・・・・・・・
「ここで意外な花、ふたつに出会いました。
一つはミヤマオダマキ、もう一つはチングルマです。
今までこの峰で一度も見たことがありませんでした。
「へぇ~!!こんなものもあったんだ」と言う世界に入り込みました。
それからレンゲイワヤナギを、今まで小生は、タカネイワヤナギとしてきていました。
珍しい名前だと思い、牧野先生の図鑑を開くと同じものであることがわかり、ヤレヤレと胸を撫で下ろした次第です。
小生のここでの初見は肩の小屋の前の空地でありました。
チシマアマナは素敵な感じに撮れていますね。」
こんなものでした。
それでは本日の「その11」へのコメント
富士山が見えたとはこの時季に驚きですね。
仙丈も鳳凰三山も見えたし、この時季としては出来すぎでは無いでしょうか。
今回は花の美しさもさることながら、山稜の優しさが際立っていますね。
日本の、3000mの、南アならではの景観でしょうね。
さて高山のスミレは何でしょうね、小生ならもう無条件で、タカネスミレとしてしまうところでしたが、よくこそ思いとどまられましたね。
投稿: ぶちょうほう | 2006-07-23 10:09
> もしかしてタカネスミレ?
標高の高さからすると,黄花の駒の爪ではないことは明らか.
だとすると,高嶺菫,雲間菫,八ヶ岳黄菫のいずれか.
とすると,やはり高嶺菫とするのが一番妥当かな?
投稿: あるぼぼ | 2006-07-23 12:12
ぶちょうほう様、何度もお手数をおかけして申し訳ありませんでした。
その9だけにコメントがつけられないのが不思議でなりませんが、こちらのほうにそちらの分までコメントを寄せていただき、本当に有難うございました。
以前、ぶちょうほう様が登られたときにはミヤマオダマキとチングルマが咲いてなかったのですね。
時期はいつのことなのでしょう?キタダケソウをご覧になったのなら、もう少し早い時期だったのかも知れませんね。ミヤマオダマキは山頂近くで2株を見つけましたが、どちらも時期が早かったらしく蕾しか見ることが出来ませんでした。それか、天候が悪かったせいかも知れません。今度登られることがありましたら、山頂のベンチの足元を確認くださいませ。
チングルマは山頂東側のすぐ下に咲いています。しかし、株数はそれほど多くはないので、見つけ難いかも知れません。去年の仙丈ケ岳では仙丈小屋よりも下で見かけましたが、これも株数は少なかったです。
レンゲイワヤナギは「北岳の高山植物」という本で名前を調べました。こういう本は便利ですね。
富士山がこの時期見られたのはほんとに幸運以外の何ものでもないですね。でも、去年も小仙丈からの下りでちらっと見かけたのですよ。2年続けての幸運です(^^;) 私たち3人の行いが良いのかも???
黄色いスミレの名前を決めかねているのは「北だけの高山植物」という本には「タカネキスミレ」が記載がないからです。色はキバナノコマノツメよりもこっくりとした黄色だと思いました。
葉っぱの手触りを確かめればよかったと後悔しています。
投稿: keitann | 2006-07-23 15:41
あるぼぼさん、こんにちは。
四国在住だと黄色いスミレを見る機会が少ないので、どのスミレを見ても「黄色のスミレ」で一くくりにしがちなのですが、山頂で見た個体は、色が下で咲いていたキバナノコマノツメとは違うように思いました。それで帰宅してから調べるとタカネスミレという高山の砂礫地に生えるスミレがあることを知りました。しかし、↑にも書きましたが「北岳の高山植物」には記載が一言もありません。
この件は少し調べてみたいところですね。
投稿: keitann | 2006-07-23 15:48