北岳に登る、その8、キタダケソウとチョウノスケソウ
↑画像はハイマツとその手前がイワツメクサ。山頂近くはよく似た白い小花が多いのだ。
去年、仙丈でしっかり名前を覚えたつもりだったのに、こうして見るとやっぱり名前が入り混じってさっと出てこない。
これは6月に愛媛の西赤石山で嫌と言うほど見たので、間違えることはない。ツガザクラの花。標高にして1500の差だから、咲く時期も一ヶ月以上は違う。しかし、この3000m峰で咲くのと同じ花が四国のわずか1500mで咲くことが、今更ながら興味深い。
他にもシオガマやオヤマノエンドウ、ミヤマダイコンソウなど稜線でお馴染みの花達が次々と現れるが、小屋に着いてから、またゆっくりと散策がてら撮影に来よう。そう考えていた矢先に・・・・・。
岩場の陰に今まで見たことのない白い花が見える。これはもしかしてチョウノスケソウ?秋田駒でも仙丈でも見なかった花だ。先輩のOさんが「北岳に咲く花」をやはりガイドブックからコピーされていたので、見てみると、葉っぱの形から間違いない。
昔の山歩きで、もしかしたら見ているかも知れないが、チョウノスケソウと意識して見るのはこれが初めてだ。葉っぱや全体の姿からすると花が異様なほど大きい。他の花はともかく、このチョウノスケソウだけはこの先、再び見られるかどうかも定かではないので、撮影しておきたい。チングルマと同じく、小さくとも木本である。バラ科チョウノスケソウ属。今回の山登りはあまり予習をせずに臨んだので、このチョウノスケソウもまさか出会えるとは思ってもいなかったのだ。
その後も綺麗なお花畑はあったが、撮影は我慢して、とにかく肩の小屋を目指す。
あまりにガスが濃くて撮影し忘れたので、代りに、翌14日朝に撮影した肩の小屋画像を貼ってみる。
着いたときは視界わずか10mほど。後方の岩場など勿論見える由もない。
肩の小屋の幕営場には大学2年の7月末に来ている。その時は午後3時を回っており、やはりガスのために展望はなかったが、小屋の雰囲気やこの場所の感じはかすかに憶えている。この小屋は標高3000mなのだそうで、標高では今まで幕営した中では最高地点だ。コッフェルで炊いたご飯は気圧が低いために沸騰しないので、とてもまずく炊けたことだけ憶えている。(^^;)
前日に泊まった白根御池小屋とはまったく違い、いかにも昔からある山小屋と言う雰囲気の肩の小屋に入ると、すでに10数人が小屋の中にいて、それぞれストーブの回りで暖を取ったり、テーブルの周りで座り込んでお茶を飲んだりしている。私たちも取り合えず雨具を脱いで濡れた登山用のシャツなどと一緒にストーブの周囲に吊るす。そして下の御池小屋で作ってもらったお弁当で早いお昼だ。Oさんが小屋でもらったお湯でレギュラーコーヒーを入れて下さったので、食後のコーヒーにもありつけた。山では食べることが、大きな意味合いを持つ。
寝場所は小屋の二階。すでにカメラを二台持参している男性が早くも寝場所を確保していた。良い写真を狙っていて、すでに南アルプスに入って3日目なのだそう。
おなかもいっぱいになり一息入れたところで、先ずは小屋の前で咲いていると聞いていたキタダケソウを見ることにする。
小屋のすぐ前に植わっている。その下は雪渓になっている。本来は北岳から間ノ岳に向かう道沿いに咲いているらしいが、そちらのほうはすでに花は終っているという。
このキタダケソウは小屋の人が雪をたっぷりとかぶせておいたそうで、雪解け後すぐに咲いてしまうキタダケソウはそうやって人為的に開花時期をずらされたようだ。
氷河期の生き残りの花とも言われ、世界でもこの北岳にのみ咲くとか。
私は普段の山行でもどちらかと言えば、山に登るのがメーンの目的で、ついでに咲いている花を楽しんでくると言う山歩きが多いので、今回もキタダケソウを目的として登ったわけではなかった。そういう訳でキタダケソウについても何の下調べもせずに、日程も体が空いているところで他の2人の予定もにらみ合わせた結果、たまたま北岳に来ることになった。そんなことを考えると、今回キタダケソウを見れたのも、ほんとにラッキーとしか言いようがない。
keitann様 こんにちは 9時に小屋についてしまわれましたか。
健脚ですね。
出るべきものはどんどん出てきて、凄いことです。
チョウノスケソウはこれで木本ですよね、もしかしたら縄文杉よりも古い株かも・・・・・・・
(・・・な訳は無いでしょうが)
キタダケソウが意外なところで咲いていましたね。
ツガザクラが可憐ですね。
投稿: ぶちょうほう | 2006-07-22 13:15
ぶちょうほう様、こんばんは。
この草すべりのルートは照り付けている時などは、暑くてたいへんでしょうが、幸い、曇っていたので楽でした。花を見ながらのゆっくりペースだと思いましたが、間に休憩を一本しか入れずにいったので、結果的には早い時間に肩の小屋に着けました。
キタダケソウが肩の小屋の前で咲いていることは途中すれ違った人から聞いていたのです。しかし、自生のものではないだろうなぁとは思っていました。小屋の人がその山に咲く花を自分の小屋の周囲に植えるのは四国の山小屋でもよく見ます。小屋の人から見れば、玄関に花を生ける迎え花のようなつもりなのでしょう。
特にキタダケソウでけを追い求める気持ちはありませんが、また機会さえあれば、自生のキタダケソウも見てみたい気持ちはありますね。
チョウノスケソウも調べてみると、どこででも咲くような花ではないのですね。
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投稿: keitann | 2006-07-22 23:10