秋の盛りの低山散策、その4
秋の野山は花も見るのも楽しいが、色付いた木々や木の実もお目当の一つだ。
この前にはまだ熟れてなかったアケビも今回はぱっくりと口を開いたものがあって、少しずつ実を皆で回してお味見した。またナツハゼの実はやっぱり去年と同じ酸っぱい味だった。
真っ赤に色付いたサルトリイバラの実を撮影しようとして、ガードレールの向こう側に行ってみたら、こんな実がなっていた。何だと思われますか?
秋の実の赤いのはガマズミ、コマユミ、カマツカなどあるけれど、私もこれは初めての出会い。いや、出会っているかも知れないが、名前を知らなくて、そのままになっていたのかもしれない。
Hさんに尋ねたら「フユザンショウです」と即座に答えてくださった。
イヌザンショウやサンショウならあちこちで見かけるが。フユザンショウというのは見るのも聞くのも初めてだ。
「実を食べると、強烈に記憶に残ると思いますよ」と言われ、一粒とって齧ってみた最初はどうということもないと思ったが、次第にあのサンショウのピリピリした辛味がじわ~と広がる。「車を運転するときに眠くなったらこれを齧るといいかもよ」と言われたけど、ほんとにその日はその後ずっと、その辛味が口に残っていた。センブリの苦さといい勝負だ。
しかし、辛いのは嫌いではないので、不快とは思わなかった。
ミカン科、サンショウ属。サンショウと同じく羽状複葉の葉を持つけど、サンショウよりかなり大き目の葉だと思う。枝には翼があるようだ。冬に落葉するサンンショウに対して冬でも落葉せず、葉をつけたままなのでフユザンショウという名がついたらしい。
検索すると愛媛や福井では絶滅危惧扱いになっている。
ナワシログミの愛嬌のあるそばかす顔も見ることが出来た。いつもだと讃岐富士で見る花だ。
ナワシログミの近くにはアキグミがこちらは実を実らせていたが、アキグミの実はどうも食べる気がしない。グミの実の渋さだけは子どもの頃にしっかりインプットされていて、これだけは手が出ない。
その他、コマユミの実も赤くなっていたが画像失敗。(^^;)
標高の低い里山なので、ところどころで野生化した朝顔なども見かける。マルバルコウがはっとするようなオレンジ色で咲いているので、思わず車を停めて撮影する。
車道の脇で時々セリ科の白い花が咲いている。HさんやRさんがヤマゼリだろうと言う。
私はセリ科の花は苦手とするところで、ツルギハナウドぐらいが何とかわかるぐらい。
しかし秋に咲くセリ科の花も珍しいなぁと思っていた。
翌日、Rさんから携帯メールが入った。「昨日のセリ科の花はヤマゼリではなくカワラボウフウです」何でも植物の会のHさんから訂正の電話があったそうで、そのHさんはたぶんもっとえらい先生に訊いたのだろう。私一人ならセリ科の花で一件落着するところだ。
カワラボウフウ・・セリ科、カワラボウフウ属。ヤマゼリと似ているが葉が違うそうだ。残念ながら、葉の画像を撮っていない。
とても綺麗な色で咲いていたツリガネニンジン。後方でうっすらと黄色く見えるのはタカトウダイの花。
一体、今年は何度ツリガネニンジンの花を見たことだろう。それだけ、ちょこちょこと山に行ってるということのようだ。
ヤマジノギク(アレノノギク)が咲くと言う場所にも案内していただいたが、生憎とまだ蕾だった。しかし、今まで見たこともない(たぶん)野菊をまた一つ憶えることが出来た。
画像はそのヤマジノギクが咲くという場所の近くで、私が唯一見つけたコクラン。
ラン科、クモキリソウ属。
コクランは花はまだ見たことがないけど、Hさんが「間違いないでしょう」と言ってくださったので、この葉の形をしっかりと覚えておこう。特徴的な二枚葉は結構目立つ。
他にも数株見ることが出来、中にはこんなに花つきの良かったであろう株も見られた。
Rさんと、「来年の花の時期に来たいわね~」という話になったのは言うまでもない。
こちらはHさんに教えていただかなければ、とてもわからなかった。カセンソウの葉だそう。花が咲けば、勿論、多少はわかるのだが、葉っぱだけでほぼすべての植物を見分けられるのがなんと言ってもス晴らしの一言に尽きる。
途中、何箇所かで、ピンクのオキザリスが群生していた。このオキザリスはれっきとした園芸種なのだけど、最近、庭から逃げ出したものが各地で群生している。オキザリス・ボウィとかボウイアナと言われるものだ。
解散は3時頃になった。暖かすぎるほどの秋の一日の散策は、讃岐の里山の植生の豊富さをあらためて感じることが出来た一日だった。
帰路は、有名なトコロテン屋さんで私は黒蜜のかかった、トコロテン、Rさんは酢醤油のトコロテンをいただいたが、とても美味しかった。
今晩はkeitannさん
ツリガネニンジンの群生すごいですね
こちらでは道路脇などに普通に見られるのですが、こんなに沢山が群れているのは初めて見ました
フユザンショウに遭えて良かったですね
アキグミ、私の田舎では町で栽培していて、実を一度凍らせてからジャムを作って売っています
凍らせると渋みが取れて美味しくなるそうです
投稿: yuuko | 2006-10-20 19:38
yuukoさん、こんばんは。
ツリガネニンジンは北海道では道端に普通に咲いているのだそうですね。
こちらでもまったくの平地では咲いていませんが、少し山っぽいところに行くと咲いています。草丈の高いものは1mぐらいになるので、花も賑やかに咲きますよ。
アキグミは凍らせると渋みが抜けるんですか~?アキグミのジャム・・・初めて聞きました。何でもジャムにできるものですね。
投稿: keitann | 2006-10-20 22:39
keitann様 こんにちは
フユザンショウには一本取られましたね。
実を見てすぐに山椒だとは思いましたが、葉にヒレがついていたのと大きな葉が目新しいものでした。
どの花がどうと言う事無しに、どれもこれもそれぞれの個性で、みんな見た目に喜びを与えてくれますね。
まして、名前がはっきり判り、愛情も一入ですね。
沢山の秋を有難うございます。
投稿: ぶちょうほう | 2006-10-21 10:48
ぶちょうほう様、こちらにもコメントをいただきましてありがとうございます。
フユザンショウはぶちょうほう様もご覧になっていませんでしょうか?
私は最初、ヌルデだろうかと思ったほどです。こういうとき植物に詳しい方がいらっしゃるのはほんとに心強いです。
画像こそ撮りませんでしたが、実を見てヤシャブシかと思っていた木も、お聞きしたらノグルミだったのです。実地に実物を見て教わると言うのは図鑑などで見るのより、ずっとよく覚えます。
仰る通り、珍しいものといっては特に見ませんでしたが、秋の風の中で秋の花を見ると言う、ただそれだけのことなのに、とても充実した一日でしたよ。
投稿: keitann | 2006-10-21 22:54