念願の矢筈山に登る、その4、思いがけない展望
いつも歩き始めの一本はペースがつかめなくて速かったりしますが、今回は特に歩き始めが遅かったので、気が急いていたようです。それに夏と違って、花はほとんど終わっていて、撮影するものがないので、自然とペースが速くなるのかも知れません。
登山道からなにやら踏跡みたいなのが出ていてたぶん展望の良いところなのだろうな~と思って、辿ってみると(といってもほんの2,3mです)こんな光景が広がっていました。
岩の右下に広がっているのはブナ林です。この辺りのブナは標高にして1300m~1400mぐらいに自生しています。丁度、落合峠の直ぐ下辺りがブナ林の広がっているところです。杉林の緑とのコントラストがなんとも言えず良いです。華やかさはありませんが、心に染み入って来るような色です。Tさんと歓声を上げて,しばらく見入ってしまいました。
画像右上に車道が通っています。
このままずっと笹原を進むのかと思ったら、そうではなく、今度は針葉樹林に入りました。道は相変わらず緩やかな登りです。この針葉樹林はここからしばらく続いていました。天気もあまりよくないので、クマの心配が頭をかすめます。しかし、ウサギの糞のようなものは見えますがクマの糞は見えないので、まぁ、クマは出ないだろうと自分で自分に言い聞かせます。何しろ今年の春に登った中東山もこことよく似ていて、クマの糞だらけだったので、ちょっと気色が悪いのでした・・。
マムシグサの赤い実を見つけました。咲いているものは一つもなく、色がついているのは木の実や紅葉だけです。
コシアブラの幼株です。幼株は葉も白くならないのですね。
進行方向右手にヌタ場が見えています(ヌタ場とは泥濘のことで、野生動物はこんなところで水を飲んだり体を洗ったりするとか・・)動物の足跡がついていますが、鹿の足跡のようでクマの足跡は見当たらず、ほっとしました。(4年前に新潟の巻機山で雪の上でクマの足跡を見ています)
針葉樹の種類がなかなかわからなくて樹種までは特定できませんがツガなどでしょうか。
稜線上に形成された針葉樹林にしてはかなり大きくて立派な木が多いです。風があまり吹かないから木が大きく育つのか、それとも木が大きいので風が遮られるのか、矢筈山に至る稜線はこの日は風があまり強くなくて助かりました。Tさんから「かなり良いペースで歩いているし、そろそろ1時間歩いているので休みますか?」と声がかかりました。私はこの日は久々に大きいザックで来ていて、荷物も水2リットル、プリムス、防寒具など詰めていて、それほど早いペースとは思ってなかったので、少し意外でした。
いつのまにか道は登りから下りに変わり、どうやら鞍部に向かって下り始めたようです。この日はなぜか、ここまで地図を見ずに歩いてしまいました。初めての道だというのに、地図を見ないのも私にしては珍しいことでした。わずか2時間ほどの登りだと言うので、気が緩んでいたのかも・・。それでは、最低鞍部の少しでも見晴らしの良い辺りで休憩しましょうということになりました。
11時55分、小休止を取ります。この辺りでは登山道は稜線のやや北側を巻いています。北側に、山が見えるのですがそれがなんと言う山かはわかりません。
Tさんがナナカマドの木があると言うので、よく見てみますが結構大きい木でナナカマドがこんなに大きくなるのかと驚きました。↑画像中に赤っぽいカバの木が見えるのは剣山付近でも見かけるアカカンバだと思います。
朝は途中の美馬のコンビニでパンとコーヒーを買って車で食べたのですが、Tさんが袋入りのホットケーキを下さったのでありがたくいただいて食べます。山では一度にたくさん食べるよりも、ちょこちょこと食べるほうが消耗が防げます。さすがに気温が低いので、水分は体があまり欲しません。この休憩地点が地図上のどの辺りかということでTさんと私の考えが分かれました。Tさんがサガリハゲへの分岐がなかったね、と言うのですが、私は分岐までは来ていないと思うのです。サガリハゲ分岐までは地図中のコースタイムでは1時間40分、わずか1時間しか歩いてないので、幾らペースが早めと言ってもそれほどは歩いてないはずです。地図中の1654ピークにも特に道標ももなかったようですし・・。私の考えでは、恐らく1654ピークからの下りの最中だと思うのですが・・。
ともかく10分ほど休憩して、再び歩き始めます。歩き始めて直ぐに、最低鞍部と思われるところに達しました。今度は南側がよく見えます。
山の斜面が見えていて、緑色の笹原に紅葉した木々がとても綺麗です。山頂方面はかすんでいてよく見えませんが、私とTさんはてっきりこの山が矢筈山だと思い込んでしまいました。矢筈山というからには双耳峰なのだと思って、落合峠から見える二つのピークが矢筈山に違いないと思っていたのでした。
この辺りから尾根は痩せた岩尾根へと変わってきます。道の傍らにドウダンの木がありました。花の咲き跡をぶら下げているので直ぐにそれとわかります。
稜線から来たに目をやればこんな光景が見えます。そのときはわかってなかったのですが、今いろいろと地図を見ながら考えると、画像中央に見えているのが石堂山のようです。石堂山から右に伸びた尾根が矢筈山に至る尾根のようですね。
ブナの色は、暖かい絨毯のような感じですね。これは素晴らしい眺めです。
投稿: 多摩NTの住人 | 2007-11-09 21:40
多摩NTの住人様、こんばんは。
ブナの紅葉は黄色とも赤ともつかない色です。ブナの紅葉を見るのは長年の夢でした。去年、ドライブでこの落合峠まで来て、初めてブナの紅葉を見ましたが、今年は上からブナの紅葉を見ることが出来ました。上から見ると、なんとも言えず素晴らしいですよ。
投稿: keitann | 2007-11-09 23:43