オドリコソウの咲く瀬戸内の島へ、その6、両墓制と猫
急な石段を下ると、海沿いの道に出ました。
港から最初に歩き始めた道です。島は平地がほとんどないので、きちんとした道は島の周囲を一周する道路があるぐらいです。
下りてきたところにかなり大きな墓地がありました。
山里とか島などに行くほど、お墓はいつも花が絶えることなくあげられていて、死んだ人への思いが感じられます。
このとき、高見島や佐柳島には「両墓制」というならわしが残っていると書いてあったのを思い出しました。
埋め墓と参り墓の両方を立てる風習のようです。しかし、今ではその風習も廃れてきているとか・・。
もっと詳しいことはこちらをご覧ください。
私の実家の辺りでも、ちょっと前までは土葬の風習があったと聞いています。
お年寄りの多い高見島ですが、畑にはいろいろな花が植えられているのは、お墓や仏壇用のお花なんでしょうね。
海に沿った道路沿いでも、取り壊された家の跡に雑草だけがぼうぼうと繁っていました。
そして、一部にはこんな黄水仙が主のいない庭の跡に咲いています。
いつも思うのですが、家に住む人がいなくなったり、花の世話をすることができないほど高齢になられて、花だけが咲いているという光景を、うちの周囲でもときど見かけますが、なんともいえない気持ちになります。
私が死んだら、たぶんうちの家族は私以外に花に興味がある人がいないのに、畑や庭にこんな風に水仙が咲くのでしょうか。
ふと、そんなことを考えてしまいました。
道に沿って、港の方角にゆっくり歩きます。
いかにもオス猫という堂々とした体格の、面構えのふてぶてしい猫君がいました。
逃げもせず、じっとこちらを見ています。
行きにも見かけたジョウビタキが帰りにも同じ木の付近でとまっていたので撮影します。ジョウビタキのオスで、それほど寒くもないのに、羽根を膨らませていたようでした。
港の近くの民家に咲いていたヤブツバキの花・・・。手前は桜のようです。
船の待合室に入ってみました。お年寄りが多いからか、ここも座って寛げるような場所がありました。おまけに電気ストーブまで置いてあります。
無人の待合室ですが、花も飾られ、さっぱりとしています。
トイレをお借りしましたが、といれも綺麗でした。
船会社の方が管理されているのか、それtも島の人が管理されているのかちょっとわかりませんでしたが、島の人みんなが利用する船着場の待合室を綺麗に維持しようという心が感じられます。
船の時刻にはまだまだ間があるので、港の反対側にも行ってみることにします。
こちらにも猫がいました。
道沿いにツルナが生えています。12月の高知でもツルナの花はあまり見かけなかったのに、ここではかなり咲いていました。
こちらは浜集落の墓地で、こちらも両墓制のようです。
再び港に戻って歩いていると、さきほどの猫たちがなにやら様子がおかしいのです。
見ていると、島の方が猫に餌をあげているようで、餌を求めて猫が騒いでいます。
町でこんなことをしていると、大変ですが、島では誰も気にしないし、苛める人もいないようです。
猫もほんとに幸せです。
待合室の壁に何か貼ってあるので、見てみたら「茶粥」のレシピでした。塩飽諸島の名物の茶粥のレシピです。大豊で出来る碁石茶を使うんですね。
外に出てみると、いつの間にか日がとっぷりと暮れていて、向こうのほうに多度津の町の灯が見えます。
たった、3時間の島での滞在時間でしたが、それでも早く山を下ったので、町の住人である私は所在無さを憶えました。まだまだ修行が足りないようです。
夕暮れ時とあいまって、島の高齢化や過疎化をなおさら強く感じましたが、次回、桜やオドリコソウの満開の頃に来れば、印象ががらりと変わるかも知れません。
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