初めてのアルプス単独行、その18、槍ヶ岳に登る
もともと私にとっては槍ヶ岳は特に憧れの山と言う訳ではありませんでした。というのも、大学で山登りの同好会に入ったのですが、私には年子の弟がいて、その弟が京都の大学に進んで一年目の夏休みに「槍ヶ岳に登ってきた」と言うのです。弟は私と違い、小さい頃から家の中での遊びが好きで、私のように野山を駆け回るのとはタイプが違ってました。運動部に所属したこともないし、体力があるようにも思えません。その弟が登山靴でもなんでもない普通のスニーカーで登ってきたというので、槍ヶ岳というのはずいぶん簡単に登れる山のようだというイメージが私の頭にできてしまったのです。加えて、位置的にも北アルプスの南部にあるので、四国からは出向きやすいので、いつでも行けそうです。そんなわけで、学生時代の夏合宿では、なるべく北のほうに位置する大日~剱岳~立山~薬師とか、針ノ木~後立て~白馬~日本海などと言うコースを選んで歩きました。
山歩きを再開してからも、観光客の多そうな上高地にあまり行きたくなかったのもあって、槍に登ろうという気がなかなか起きなかったのですが、今回は後輩がやはり新穂高からの登りがアプローチしやすいというので、それならば西鎌~槍もいいかと思えたのです。
そんなことで、今回の槍ヶ岳登頂は遣り残した宿題を片付けるという気持ちが一番近かったかもしれません。
画像は槍ヶ岳山荘の宿泊証です。今回は山小屋では何の記念品も買わなかったので、これが良い記念になりました。宿泊受付では前穂という部屋に案内されました。
例のごとく、朝食は抜きで、お弁当をお願いしました。
内部は建て増しした部分などで最初は迷路のように思いましたが、直ぐに各部屋の位置はわかりました。
部屋はほとんどが二階にあって、廊下などは清潔です。
これは後で撮影した室内ですが、私が止まった部屋は二段ベッドの部屋で、8人分のお布団があるところに単独の女性ばかりが4人泊まりました。
靴置き場も部屋の中にあって、便利でした。
濡れたウエアなどを乾燥室に干した後、自炊室で軽く食べて、コーヒーを飲むことにしました。山荘内の食堂、槍キッチンではパンなども売ってると聞いて、行って見たらパンは売り切れでしたが、マフィンがあったので買ってきます。
自炊室は2階からまだ階段を上がって、実質3階??
自炊室と同じフロアにも部屋がありました。
自炊室の様子です。このときは誰もいなかったのですが、部屋にはちゃんとストーブが炊いてくれてあります。
前日の双六小屋では結局、プリムスを使うこともなかったのですが、この日はプリムスでお湯を沸かし、カップ麺の小さいのを作ります。翌朝、この使用済みの容器を利用してフリーズドライの雑炊を作ろうという魂胆で持ってきたものです。
低めの気温なので、暖かい麺類は意外と美味しかったです。
食べている最中に、薄日が差してきたようなので、槍に登ってこなくてはと、思い出しました。翌朝の天気もイマイチはっきりしないので、この日のうちに一度登っておいて、明朝天気が良ければもう一度登ってもいいかという心積もりでした。
急いで身支度をして、乾燥室で乾かしたばかりの雨具をもう一度着込みます。
小屋から出ると、雨は降ってないものの、ガスは相変わらずです。
小屋の直下ではミヤマオダマキやイワアベンケイが咲き誇っています。
晴れてたら、この下に絶景が広がってるんでしょうね・・・・。
時刻は13時18分です。
ほんの少し登ったところで、下ってくるご夫婦とすれ違いました。ウエストポーチは後ろ向きに回して、カメラも一眼は仕舞い込むほうがいですよとアドバイスをいただきました。
そうなのです、ここからは岩場登りなのです。うっかりしていました。
そうこうするうちに、また雨が降ってきたので、一眼はどのみちザックに使えない運命なのでした。
ご夫婦の話では登りの人は進路を左に左に取って下さいということでした。
私のすぐ後方から来られていた男性が降ってきた雨のため「登るのやめようかな」と言っています。
私はといえば、あまり大きな声では言えないですが、翌朝晴れるという保証がなかったので、そのまま登ることにしました。
ルートはここでも白ペンキを辿ります。
この直ぐ後で、左へと進路を示す白ペンキがあったのですが、前を登る人がいないのと、白ペンキがずいぶんわかりにくいのとで、間違って下りのルートのほうを進んでしまったようです。
この鎖は下り専用の鎖ですね。下ってこられる人がいて、初めて気づきました。
慌てて、分岐まで戻って、今度は間違いなく登り専用ルートを進みます。
雨のため、岩が少し滑りやすいので用心しながら登っていくと、途中でちょっとしたお花畑がありました。
これが話しに聞いてた垂直の梯子ですね。この上にまだ梯子がありますが、最初の梯子を登り切った所です。雨のため人が少ないので、待ち時間はあまりありません。
この辺は登りと下りが同じルートになっているようでした。
私の直ぐ前を登る男性が、梯子の途中でしばらく待っています。
私はといえば、もちろん、梯子の下で待ちます。
上を登る女性がかなり手間取っているようでした。
手でしっかり確保すれば、普通の梯子と同じで何も怖くはないはずなのですが・・・。
画像は下り専用の梯子で下っていかれる人です。
13時45分、遣り残した宿題を片付ける気持ちで、山頂着です。
近くにいらした男性にお願いして、私としては珍しく記念写真のシャッターを押していただきます。
どうやらツアーの人たちのようで、全員が下り終わるのを待っていたら、相当な期間がかかりそうなので、お願いして先に下らせてもらいました。
梯子の下まで下ってくると、ツアーのインストラクターであろう、若い男性が、下ってくる女性一人一人に手の置き場、足の置き場の一つ一つを教えていました。
画像がインストラクターの方です。
鎖場では体の向きを岩のほうに向けることまで、指示されてました。
あまり岩場を歩かれたことのない人もツアーの中にはおられるようでした。
この後は特に問題もなく下り、14時10分ぐらいには小屋に帰り着きました。
後で、山荘内でインストラクターの方にお会いしたので、尋ねたところ、全員が下り終わるのに1時間以上かかったとか・・。先に下らせてもらって良かったです。
あの風雨の中、1時間も待っていれば体も冷えるでしょうし、全員、無事に下れたと聞いて、他人事ながらこちらもほっとしました。
それにしても女性ばかり20人ものツアー登山・・・問題もありそうですね。小池新道では女性がほとんどを占める30人ものツアーにもすれ違いましたが、ツアー登山は精々10人ぐらいまでが限度だと思うのですが・・・。採算のため、仕方ないのでしょうか?
こんにちは。
人それぞれ、いろいろな宿題があるんですね。
そのままにしておきたくないというkeitannさんのお気持ちが良くわかります。
投稿: 多摩NTの住人 | 2011-08-08 20:50
チョット、チョット、チョット・・・
ますます恐ろしい。
写真と解説読んでいるだけで、ドキドキしちゃいました。
ツアーの人たちって山登りになれているのかしら?
一緒になったりしたら、迷惑ですね。
一人で山歩きする人達って沢山いるのですね。
だけど、恐~。
凄い!
投稿: ベルママ | 2011-08-08 21:25
多摩NTの住人様、こんばんは。
学生でなくなっても宿題は結構ありますね。
私の場合は、あと、穂高と笠が岳に登るのが宿題でしょうか。
でもこれは、比較的新しい宿題ですね。(^_^;
槍は大学卒業の頃から、いつかは登らなければと、ずっと、心のどこかで思っていたかもしれません。
投稿: keitann | 2011-08-08 22:34
ベルママさん、こんばんは。
山には今回の槍ヶ岳や剱岳のような岩山もあるのですが、今回登ったコースは一般ルートですから、一応、誰でも登れるコースです。
写真で見ると怖そうですが、実際はそうでもないんですよ。
ただ、雨のときは岩が滑りやすいので、雨天時の登頂はあまり褒められた行為ではありません。
私自身は岩場や鎖場は昔から結構好きです。鉄棒や体操が好きだったので、腕の力があるからかも知れません。後はバランスですね。
ツアーの場合は山に慣れている人、慣れてない人、体力のある人、あまりない人、いろいろな人が一緒に行くので、かえって難しいですね。
投稿: keitann | 2011-08-08 22:43