初夏の東北の旅、その13、角館
さて、栗駒峠から秋田方面への下りは、初めて走る道です。
この道は国道342号と言うのですが、岩手側はともかくとして、秋田側への下りの道は素晴らしく快適な道でした。
四国の山間部の国道と言えば439号などの酷道と評される道もあるほどですが、この342号は片側一車線の素晴らしい舗装道路です。おまけに対向車が1時間に3,4台と言う信じられないような少なさです。こんなに通行量の少ない道路がこれほど素晴らしいというのは秋田の財政事情はどうなっているのだろう?と主人と話したほどでした。
誰か大物議員でもいるのかしらん?
そんなことを話しながら快適な道路を下っていると、何やら黄色い花が目につきました。
早池峰で、黄色いナンブイヌナズナを見たばかりでしたが、もちろんナンブイヌナズナではないことが直ぐにわかります。
帰宅して調べたところ、ヤマガラし(ミヤマガラシ)のようです。
実はこの花も2009年の白馬岳の山頂直下で見ています。
白馬で見たのよりずっと草丈も高くて普通の草場みたいですが一応、高山植物のようです。東北では車道沿いで咲いてるんですね。
タニウツギも北アルプスでは珍しいと思っていましたが、東北の日本海側では見飽きるほど咲いています。
快適な道路を1時間ほど下ったら、ようやく集落が見えてきて、コンビニがあったので、車を停めて休憩しました。
この日の天候は午後からも快晴で、平野部では気温がかなり上昇しているようです。
暑くてたまらないので、コンビニで私としては珍しく、冷たいものを買いましたが、主人などはアイスクリームを買っていました(^_^;
栗駒峠付近は東成瀬村だったはずなのに、1時間かけて下ってもまだ東成瀬村なのです。
東北は広い・・・・。
東成瀬村は南北に30キロの長さがあって、面積は私が済んでいる市の約二倍です。広い筈ですね。因みに降雪量は多い時は3~4mに達するとあります。去年秋に宿泊した栗駒山荘はこの東成瀬村の経営ですが、素晴らしい宿なので、あちらに行かれる際はぜひ宿泊されてみてくださいね。
1時間ちょっとかけて、ようやく横手市の辺りに出てきたら、ここでも鳥海山がばっちり見えました。
山から見るのと違い、平野部から眺めると出羽富士と言う名がぴったりですね。
それにしても雪の多い山です。この季節ならスキーでも担いで行かないと、普通の山登りは無理でしょうね。
角館まで下道で行くつもりだったのですが、秋田は広~~い。
狭い香川と同じ感覚ではいつになっても着きそうもないので、十文字と言うインターから高速に乗ることにしました。
十文字インターと言うのは湯沢横手道路という自動車道のインターらしいのですが、走って10分もするとっ高速秋田道に乗ります。
この秋田道と言うのが、私が普段走ることの多い高松道よりもはるかに通行量の少ない高速でした。
こんな感じで、たまに前を車が一台走っているだけです。
主人は秋田道の開通が古そうなのが納得がいかないようでした(^_^;
途中のPAで休憩した時に気温を見たら、何とこのときの気温が30℃以上でびっくりしました。
東北でも日本海側は、かなり気温が上がるものですね。
大曲インターで高速を下りて、後は下道を走ること30分ほど。午後3時半にようやく角館に着きました。
武家屋敷を見たいのですが、角館の地理がわからないので、とりあえず目についたカフェでコーヒーを飲んで、このカフェの駐車場に車を停めさせてもらいました。
えらく立派な旧家の倉がカフェになっているという具合で、黒漆喰の素晴らしい扉です。
武家屋敷方面を目指して歩いていくと、通りに「樺細工」のお店がありましたので入ってみました。
このお店も内部の高級な商品を置いてあるスペースは蔵になっているんですね。というか蔵を店舗として利用しているようです。
というのも娘宅に仙台の親友が自宅で育てているバラをくださったのですが、娘のマンションには一輪挿しすらおいてないようで、せっかくのバラが空き瓶に生けられていたので、一輪挿しは娘へのお土産です。
コースターは我が家用で、この画像のものが角館産の樺細工です。
桜の皮をはいで作る細工物で、よく見るの茶筒などがありますね。
我が家にもすでに義母が買っていた樺細工の茶たくや茶筒はありますから、コースターを選びました。
なおも通りを歩いていくと、向こうのほうに、何やらうっそうと茂った木々が見えてきました。
大きな公園でもあるのかしらん?と思いながら歩いていくと、これが武家屋敷に植えられた木々だったのです。
アカマツはこちらの山にもありますが、精々樹高10mほどです。
個人の家の庭に樹高20m以上ものアカマツが植えられているということが、ちょっと信じがたい光景でした。
どの家も通りに面した板塀は黒塗りで、これは町並みを統一するために新しく整備されたようでした。
連休の頃はこれを目当てに観光客がたくさん訪れるという枝垂れ桜です。
娘夫婦も5月の初めに角館を訪れたそうで、弘前城の桜と角館の桜は一度は見ると良いよ、と娘に言われました。
今回は観光シーズンではなかったのと、夕方にかかっていたのとで、閑散としていて、ゆっくり見られたのですが、それはそれで良かったと思います。
武家屋敷のうち、2,3軒が公開されているということで、私たちは青柳家を見学させてもらいました。
3000坪と言う邸内には武器蔵や様々な蔵が点在しており、様々な武器や甲冑、大皿、絵画などが展示されていて、見ごたえがあります。
青柳家のHPはこちらです。
邸内はほぼ撮影可能だそうです。
お庭はこの辺りはまだお庭らしい体裁を整えていますが。雪が降り積もる土地柄だからか、庭と言うよりは林に近いと思いました。
庭の一画ではベニバナヤマシャクヤクが綺麗に咲いていて、驚きました。
今年はとうとう四国の山のベニバナヤマシャクを見ることもなく終わったのですが、東北の旧家のお庭で見ることになろうとは思いませんでした。
ベニバナヤマシャクヤクの向こう側にはキレンゲショウマが一叢繁っていて、花芽をつけています。
キレンゲショウマの大きさはまさに剣山で見るのと変わらず、旺盛に繁った様子から見ると、この土地が合っているのでしょすね。
東北に来て、四国の山の花を見ようとは思ってもいなかったので、驚いたり喜んだりでした。
良く、角館のことを東北の小京都と呼びますが、京都のようにちまちまとした庭とは、まったく別物ですね。
玄関横に植わっている樹齢400年の枝垂れ桜の幹はいろいろなものが着生して、古木の風格を感じさせます。
邸内の方に尋ねたところ、この木はモミの木だということでした。樹高20mを完全に超えた木で、こんな大木が個人の庭に数本植わっているということが、ほんとに信じられなくて、主人と二人で感嘆しきりでした。
そういえば「樅の木は残った」という小説がありましたね。
雪の積もった時や枝垂れ桜の花の時期にも見てみたいと思わせる光景でした。
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