新穂高~槍~上高地、その15、槍の穂先で楽しむ
部屋に荷物を置いたら、まずはお昼御飯ですね。
私は結局、登りの間、クッキーのようなものを食べただけでした。お腹も空いているし、コーヒーも飲みたいしで、二人で自炊室に向かいました。槍ヶ岳山荘の内部はまるで迷路見たいですが、2年前に泊まっているので、各部屋の位置は頭に入ってます。
槍平の小屋で作ってもらったお弁当を食べて、食後のコーヒーも飲んで、寛ぎました。自炊室にはもう一人、姫路からという50代ぐらいの男性がいらしたのですが、この方、なんとテン泊とはいえ28キロの荷物を背負ってこられたそうです。いまどき、28キロって何がそれほど重くなるんですか?とお尋ねしたら、やはり食料と水が重いですと・・・・。3泊で予備日が1日だそうですが、それでもいろいろなものが軽量化されている今、これはもう重い荷物を担ぐのが好きな方なんだろうなとお見受けしました。
お腹に食べ物が入って満足したところで、槍の穂先へのピストンにそろそろ出かけようという話になりました。
荷物は私はサブザックに交換レンズと携帯、水だけを入れ、Yさんはサブザックを持参してないので、ウエストポーチのみ。
槍ヶ岳山荘の前に出たのがちょうど13時でした。
槍平の小屋で17日夜一緒だった愛知の男の方をお見かけしたので、「槍に登りました?」と尋ねたら、風が強いので登頂は明日にするとのこと。
確かに風は強そうですが、風向きの関係で山頂に至る登山道は岩陰になるので、風の影響はあまりないように見えました。取りあえず登ってみて、風が強そうなら下ってもいいわけですし・・。
うまい具合に、私たちのちょっと前を若い男女1組が穂先に登って行かれるようです。
山荘の前にもミヤマオダマキが咲いていました。
山荘を穂先方面に進むと直ぐに、西鎌尾根からの道と合流します。
2年前はここから槍ヶ岳山荘に登ってきたわけですが、周囲はガスが立ち込めて、どこを歩いているのやらさっぱりわからなかったほどでした。
後ろのほうには赤茶けた色の硫黄尾根が見えていて、これだけは西鎌尾根からも良く見えたことを思い出します。
後ろを振り向くと、大喰岳の向こうの中岳方面も少し見えてきたものの、奥の穂高はガスってますね。
他の人がいないので、待ち時間がなく順調に登れます。
ちょっと登っただけでも、小屋が下のほうに見えて気持ちいい・・・・。
岩と岩の隙間に顔を覗かせているイワヒゲ・・・。
たくましい花たち・・・。
これはシコタンソウかな?
ずいぶん久しぶりで見たような気がします。
2年前は雨だったので、さすがに一眼を持って登るのは無理だったのですが、今回は一眼を首からぶら下げて登ります。邪魔な梯子場ではたすきがけに・・・。
一足先に登って行ったカップルは女性のほうがどんどん登って行き、男性が後を追っているようです。
Yさんがその男性のすぐ下まで追いつきました。
岩の間から見えるのは、先ほども見えた硫黄尾根です。
最初の梯子場のすぐ下までやってきました。
下りの人は全然いないので、待ち時間がほとんどなくて助かります。
3000mを超しているので、少し息切れするような感じもあったりしますが、気のせいかな??
小屋がますます下のほうに・・・・・。
上の人が登るのを待っている間に、岩陰からこんな光景を眺めます。
雪がまだまだべったりくっついてますね。
小屋は、もうかなり下のほうになりました。
梯子場を見上げると、何ともいえない青空が見えました。
空気が綺麗だからか、下界で見る青空と色が違うような気がする・・・・。
最後の梯子場を見上げたところです。
槍の穂先に着いたのは13時23分でした。
数十年ぶりに槍に登ったというYさんに「写真撮る?」と訊いたら、山頂表示を手に持ってすっくと立あちました。高所恐怖症ではないようですね・・・(^_^;
槍の穂先に上がった途端、携帯のメール着信音が何度も鳴ってしまい、Yさんにひんしゅくを買ってしまいました(^_^;穂先はさすがに邪魔するものがないので、電波状態が良いんですね。田舎暮らしの私は、電車には乗ることがほぼなくて、滅多にマナーモードにしないので、山でもマナーモードにしてなかったのです。確かに、こんな素晴らしい眺めに着信音は異様な音ですね。
山頂の祠の横に座り込んで、周囲を見回していたら、北鎌尾根のガスがいきなり晴れました。
この日はさすがに北鎌尾根を登ってくる人はいないようでした。
それでなくとも、槍の穂先にいるのは、私たちより一足早く登った若いカップルと私たちの4人だけ。
東の方角には東鎌尾根が見えています。
ヒュッテ大槍の赤屋根が目立っています。
自分でもどちら方面を撮影したのかよく覚えていない・・・・。
雪がかなり多いですね。
常念の向こうに広がるのは安曇野あたりでしょうか。そして、その向こうに小高く見えているのが美ヶ原?
私は美ヶ原や霧ヶ峰と言った高原には行ったことがないので、位置関係があまり良くわからないのですが・・・。
こちらは西鎌尾根から千丈沢乗越を経て槍ヶ岳山荘へと至る道が見えています。小屋の向こうに見えている緑の尾根が、この日ずっと眺めながら登ってきた中崎尾根ですね。
笠ヶ岳方面のガスはどうしても取れず、三連から鷲羽にいたる稜線付近が一瞬見えただけでした。
白馬方面も一瞬見えたのですが、撮影は出来ませんでした。
若い男女の方は東鎌尾根を登ってこられたそうですが、山歩きを初めて1年ちょっとと言うことで、今が一番面白くてたまらないという口ぶりでした。
後から単独の男性も1人来られましたが、それ以上は登ってくる人もなく、5人で30分ほども穂先で楽しんだのですが、次第にガスが増えてきたので、私たちは下ることにしました。カメラはもうザックに仕舞い込みます。
下り始めたのは13時57分ですから、30分以上も楽しんだわけですね。7月末や8月の夏山最盛期にはとてもこうはいかなかったでしょうから、ほんとに良い時期に登ったものです。
2年前の雨の時だって、7月末だったので、ツアーの人が多く、山頂でゆっくりはできませんでしたから・・・。
小屋まで下ってきたら、辺りはすっかりガスっていました。
途中で70歳ぐらいのご夫婦が槍の穂先に登られてくるのと出合ったのですが、「大丈夫かな?」と心配でした。後から下ってこられた若いカップルに尋ねたら途中では見かけなかったのことで、どうやら70ぐらいのご夫婦は登るのをあきらめたようです。ちょっと足元がおぼつかない感じだったので、そのほうが安心ですね。
下ってすぐに、小屋の前のミヤマオダマキを撮影しました。
部屋に入る前にキッチン槍に立ち寄って、翌日の朝用にマフィンを、そしてその日の夕食時に飲もうと思い、カップワインを買いました。標高3000m超えなので、さすがにビールよりワインです。
部屋に帰ったら、単独の女性が一人、同じ部屋にいらして、この方は横尾山荘から登ってこられたそうです。私たちとほぼ同年代の方で、後からもお話が弾みましたが、結局、今回の泊まりも1部屋に3人とゆったりしたものでした。
夕食までのひと時は談話室で山の本を眺めながら過ごしたのですが、槍ヶ岳山荘の談話室はなぜか電波状況が良くて、談話室に入るなりメールが入ってきました。私も無事の登山を、友人や家族にメールしたりしたのですが・・。
夕方暗くなる前に、もう一度小屋の外に出て、花たちを撮影しました。
花芽の赤いイワベンケイです。高山でないと見られない花ですね。
こちらはピンクの可愛いタカネヤハズハハコです。
登ってくる際に見つけて、後で撮影しようと思っていたのです。
もうすっかり背景がガスっぽくなってしまった中、最後にイワベンケイを撮ります。
この後、すぐに夕食の時間となり、私は買っていたワインも飲み、この日もほろ酔いでした(^_^;
ワインの良いが冷めないうちに眠ってしまおうという魂胆なのですが・・・。
そして、18時54分撮影の、この日最後に眺めた槍・・・・。
前夜はよく眠っていたので、この日は寝つきが悪いかなと思っていたのですが、ワインが効いたのか、この日も8時前にはぐっすり眠ってしまったようです。
keitann様 こんにちは
槍の穂先で超豪華な30分でしたね。
槍から見下ろす風景はとても魅力的です。
山はハイマツの緑の衣を纏い、地肌には残った雪が付いている姿は、なんともいえない潤いを感じます。
パノラマで見る山岳景観のスカイラインも大好きですが、山肌を仔細に眺めるのも好きです。
小生の場合は、槍の穂先で晴れたことは一度しか有りませんので、その記憶がどんどん薄れていますが、この記事を見て、また新しい場面をインプットできました。
頂上付近では梯子が随分増設されたようですね。
一つの画面に梯子が4つ見えたので驚きました。
播隆上人が登ったときに、穂先の最上部に出るのに難儀して、最後は綱に石をつけて、それを投げて岩に挟ませて攀じ登ったそうですね。
そこにはあとから「善の綱」をつけ、その後に「善の鎖」を掛けていたそうですね。
その名残はもうありませんが、現代ではこの梯子が大活躍しているのではないでしょうか。
投稿: ぶちょうほう | 2013-08-02 17:24
ぶちょうほう様、こんばんは。
槍の穂先でゆっくりできるなんて、夏山最盛期にさきがけて出かけた賜物でしょうね。
週末や7月末に入ってからでは、たくさんの人が次から次へと上ってこられるので
とてもゆっくりできる気分ではありませんね。
この日は何も阿kもがすっきりと見えたわけではなかったですが、ガスがたまにかかるのも
それはそれで高山らしくて好ましいと思いました。
槍は私は昔には登っていませんが、同行の後輩は何十年ぶりかで登ったと言ってましたが
やはり「こんなに鎖や梯子があったかな?」と言ってました。
梯子場は一つの梯子場に対して、登りの人用と下りの人用の二つがかかっているようです。
でも、私たちが登った時は下る人がいなかったので、登りやすいほうを登りました。
幡隆上人はそういうやり方で登られたんですね。
そういえば、マッターホルンも最初に登った人は長い木材を担いで行って、それを立てて
登ったと言ってましたね。
何事も最初に成し遂げる人はずいぶんなご苦労を重ねてらっしゃるようです。
下りでは幡隆上人さんの祠?を見ました。
投稿: keitann | 2013-08-02 22:31
北アルプスの映像は、テレビ番組でいろいろお馴染みですが、花を観察する写真が付録についているこの山紀行は、身近に呼吸が感じられて楽しく拝見しています。
私は昭和30年代に、明神池のそばで、粉末のインスタントジュースを川のせせらぎで作って飲んだ記憶があります。そのとき、西穂高独標まで行ったのが唯一の登山歴で、その後は乗り物利用のいいとこ取りで歩かない登山者です。
ちょくちょくお邪魔して見ています。お気に入りに入れています。今後とも、独自のカメラアングル楽しみにしています。
投稿: 中村獏 | 2013-08-06 01:36
中村さん、こんばんは。
お久しぶりです。
北アルプスは夏になるといろいろな山番組でも紹介されることが多いですね。
特に槍ヶ岳や穂高辺りはその代表みたいなもので、白馬などと並んで目にされる機会も
多いのではと思います。
今年は天候に恵まれて画像の枚数を撮りすぎたのと、いろいろ雑用もあったりで、アップが
長々とかかってしまい、申し訳ないです。
昭和30年代に西穂独標に行かれたのですか。私が学生時代にせっせと登ったいてのが昭和
40年代末から50年にかけてでしたから、大先輩でいらっしゃいますね。
あのころは粉末ジュースを持って登り、沢の冷たい水で作って飲んだものですが、これほど
美味しいものはないとさえ思ってましたよ。私も含め、山仲間たちは下界に下りても、粉末
ジュースを買って作って飲み、がっかりしたという経験を持ってます(^_^;
乗り物利用のいいとこどり・・・・そうですね。私もそのうちにお仲間入りしたいです(^_^;
投稿: keitann | 2013-08-06 22:26