チシマギキョウが綺麗に咲いているのを眺めながら、双六小屋で作ってもらったお弁当を半分ほど食べます。考えたら、朝からすでに2時間ほど歩いているはずで、しかも登りがあったのですが、ガスっていて気温も低めなのか、全然のどが渇きません。お弁当を食べるのに、2口、3口、お茶を飲んだぐらいで、体が水分を要求しません。結局、この後もほとんど水分を摂ることはなく、6時間ちょっとの歩きで、摂った水分は200mlぐらいでした。
ここまでで、途中、ナナカマドの繁みを通過するところがあって、濡れそうなので、すでに雨具を上下とも着込んでいます。
前後に人影はありませんが、道はしっかりしているし、千丈沢乗越までは一本道なので、迷う心配もありません。
次々とでてくる花に気をよくしながら歩きます。
すると、結構大株のウスユキソウの仲間が咲いていました。
思いがけない槍穂の姿を20分ほども楽しんだでしょうか。
これは案外、前日と同じパターンで昼間は晴れ間もあるのかな?などと微かな希望的観測を抱きながら樅沢岳を下ります。といってもほんの50mほど下るだけですが・・。西鎌尾根は地図で見ても、また、弓折岳方面から実際に眺めても、ほとんどアップダウンのなさそうなコースです。
登っても下っても、せいぜい100mまでのようですね。
今回の歩きでは双六小山では今まで2度も歩いていて、勝手のわかった道ですが、双六小屋以後はまるっきり初めての道です。ですから、樅沢岳は久々に踏んだ初めてのピークでした。
10分ほど休憩でもしようと、周囲を眺めていたら、男の人が二人、双六方面から登ってこられて、山頂で記念に写真を撮りたいとうので、頼まれてシャッターを押してさしあげました。そのカメラがペンタックスのずいぶん重い本格的なカメラです。
私のほうも初めてのピークなので、私のカメラで珍しく記念写真を撮ってもらいました。
翌日、たまたま槍平からのエスケープルートを一緒に下らせていただくことになったのが、このお二人だったのでした。お二人は山の写真が目的の山行のようでした。
双六小屋は今回で3度目の宿泊で、勝手がわかっているので、落ち着きます。
受付にいる方も3年前と同じ方でした。通された部屋はこれまた3年前に泊まったのと同じ部屋で、窓を開けると正面に樅沢岳が見える部屋です。同じ部屋に私も含めて結局7人の女性が泊まったのですが、母娘で高天原方面から縦走されて来たというその娘さんのほうを除いた後の6人はどなたも中高年の女性の方ばかりでした。
翌日に私と同じ西鎌尾根ルートで槍に行きたいといいう、やはり単独の女性の方がいらして、地図を熱心に見てはコースタイムの計算をされてます。私も同じルートを歩こうと思っていたので、いろいろと相談させてもらいました。その方が小屋の方にお話を聞いてこられ、西鎌尾根で注意すべき場所は鎖場と稜線が左側に切れ落ちている箇所、それに突風が吹くことがあるので気をつけることだそうです。
その夜は前夜の睡眠不足を解消すべく、夕食時にビールを1缶飲んでそのまま爆睡の予定が、同室の方々のお話があまりにも面白くて、結局、消灯時刻の8時半まで眠くならず、就寝は8時半過ぎでした。
翌朝は部屋の電灯が点くのが4時だそうで、4時過ぎに目覚めたら、同じ部屋の方たちはほとんど起きてらしたようです。私は小屋の朝食は頼んでなくて、プリムスでお湯を沸かし、コーヒーとクラッカーで簡単に朝食を済ます予定です。ところが、お湯は小屋の方が大きなやかんに沸かしてくれてたので、それを分けていただきました。おかげで自炊室に行くこともなく、部屋で簡単に朝食を済ますことができました。これだと朝の出発がスムーズで楽です。朝食は頼まない代わりにお弁当は作ってもらいました。
ベンチに座ったまま20分ほども槍穂方面のガスがはれるのを待っていたでしょうか。
単独での歩きというのは、誰にもせかされることなく、時間さえ許せば好きなところで好きなだけ眺めを堪能できるのが良いですね。
そうこうするうちに、上から女性の二人組みが下ってこられました。
急登でもなんでもないだらだらとした登りのトラバース道は、結局、この日いちばん疲れの出た辺りでした。花が多いというのを言い訳にして、かなりのゆっくりペースで歩きます。時間は幸い、早発ちのおかげでそれほど気にしなくても良いのが有難いです。
鏡平の少し手前から、睡眠不足の疲れが出てきて、その日の泊まりはもう鏡平の小屋でいいかな~などと日和見的な考えが頭をもたげていました。
いったん、鏡平の小屋に入って、宿泊受付の用紙に記入までしかけたとき、小屋の方が「今日は布団が一人に一枚当たらないかもしれませんけど・・・」とおっしゃるのです。90人の団体さんがこの後、やってくるのだそうです。え~、それは困りました。ただでさえ、睡眠不足の上に二日目も睡眠不足では次の日歩けません。「双六小屋まで行けばそれほど混んでないと思います」と小屋の方。仕方ありません、気力を出して双六まで歩くとしますか・・・。鏡平から双六小屋のほうに今夜の宿泊の手配をお願いしてもらいました。同じ系列の小屋ですから、その辺はすんなりとやっていただけます。多分、花が多くて撮影に時間がかかりそうなので、遅くなるかもしれないということも伝えてもらうよう頼みました。
外に出たら、黄色い雨具にバンダナを巻いた男性に「がんばって双六まで行きましょうや」と励まされました。
鏡平小屋の前のデッキですわり行動食を少し食べておこうと思い、ザックの雨蓋を開けたら、化粧道具と洗面道具の入ったポーチが出てきました。やれやれ・・・これで、日焼け防止と歯磨きができます。早速日焼け止め防止に塗りたくります(^_^;
今回の山行ではガスコンロとコッフェル、食料等を多めに持っているので、水が補給できるところは、あまり多くの水は持たずにおこうと考えていました。
ここ秩父沢も雪解けの冷たくておいしい水が豊富に流れているので、新穂高を出るときには水分は1リットルしか持たなかったのです。その代わり、空のペットボトルを持参して秩父沢の水で粉末のポカリを作るつもりでした。
出発は25日の夕方です。夕方5時以降に自宅を出れば、瀬戸大橋ではETCの通勤割が、そして飛騨清美インターを下るのは深夜になるので、高速の深夜割が使えるはずです。問題は仮眠の時間があまり取れないので、25日の昼間に少し寝ておこうと思ったのですが、昼寝の習慣がないので、結局寝ることができませんでした。
いろいろな野暮用を済ませながら、主人のためにおでんを2日分ほど煮込んだあと、お風呂に入ってから6時過ぎに自宅を出ました。
神戸、大阪、京都と特に渋滞にも遭わず、順調に走ります。途中は大津SAなどで適当に休憩を入れ、眠くなれば30分ほど仮眠を取り、一宮JCTから3年ぶりに東海北陸自動車道に乗ります。この頃から雨が降り始め、東海北陸自動車道のところどころで激しい雨でした。時刻は深夜1時を回り、走っている車はほとんどありません。飛騨清美インターを下り国道158号を平湯へと向かうのですが、こんな深夜に走るのは初めてのことで、いつもと勝手が違いました。雨はその間もずっと降っていて、途中、平湯の温泉旅館や民宿の間を抜けるので、もし雨が止まないなら、いっそのこと平湯の民宿にでも泊まって、観光して帰ろうかなどという考えが頭を掠めました・・(^_^;
結局、新穂高の無料駐車場に着いたのは午前3時半ごろ、まだ小雨が降っていました。でも、無料駐車場は結構空きがあってほっとしました。明るくなるまで仮眠することにし、30分ちょっと眠ったでしょうか。4時になって、目を覚まし、車の窓から外を見ると、薄暗い中にも山肌が見えています。平湯の民宿泊まりを半ば覚悟していただけに、山肌が見えたときは嬉しかったです。外に出ると、雨もほとんど降ってない様子。途中のSAで昼食用に買っておいた柿の葉寿司やお茶をザックに入れ、靴下や靴を履き替えます。
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